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『青の姫君の森暮らし 〜化け物と恐れられた公爵令嬢は、今日も畑を耕します〜』

作者:伊佐波瑞樹
最新エピソード掲載日:2026/08/07
スプリング公爵家――王国貴族筆頭に生まれた一人娘、フローラ・フォン・スプリング。

空色の髪と深い青い瞳を持つ彼女は、その美貌から「青の姫君」と呼ばれ、多くの貴族たちから憧れの存在として注目されていた。

しかし、美しかったのは容姿だけではない。

勉学、武術、魔法、領地経営、薬草学、裁縫、料理――あらゆる才能を持つ彼女は、十歳にしてすべてを極めてしまう。

あまりにも優秀すぎた。

騎士団長も、魔法師団長も歯が立たない。

娘の才能を誇っていた家族は、やがてその力を恐れ始める。

そしてある日、フローラは公爵領の果てにある森の一軒家へ送られた。

使用人もいない。

護衛もいない。

周囲には森しかない。

誰が見ても、生きて帰れるとは思えない場所だった。

――けれど、困ったのは森の方だった。

結界を張り、畑を耕し、魚を獲り、魔物を狩り、薬草を育てる。

規格外の才能を持つフローラは、誰にも頼ることなく快適な森暮らしを築き上げてしまう。

毎朝畑の様子を眺め、お茶を淹れ、季節の野菜を育てる。

そんな穏やかな毎日を送る彼女だったが、一つだけどうしても手に入らないものがあった。

それは――友達。

幼い頃から勉強と修行だけの日々を送り、友達は一人もいない。

恋愛経験もゼロ。

「友達って、契約書を書くの?」

そんな少しズレた天然令嬢のもとへ、ある日、森で迷った兄妹が現れる。

その出会いは、閉ざされていたフローラの世界を少しずつ変え始める。

一方その頃、王都では「青の姫君失踪事件」が王国を揺るがす大事件となり、騎士団や貴族たちは彼女の行方を必死に追い続けていた。

しかし当の本人は――

「今年のトマトは、とても甘く育ったわ」

今日ものんびり畑を耕し、美味しいお茶を淹れながら、静かな森で笑っている。

これは、"化け物"と恐れられた少女が、初めて「普通の幸せ」を知っていく物語。
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