第14話 青の姫君、贈る喜びを知る
押し花の栞は、思っていたより綺麗に仕上がった。
淡い青。
小さな白。
少しだけ黄色。
森の家の花壇で咲いていた花たちは、薄い紙の中で静かに水分を抜かれ、元の形をほとんど残したまま、柔らかな色を閉じ込めていた。
私は朝の光の中、机に並べた栞を一枚ずつ確認した。
エマには青い花。
ニコには白い花。
トトとルルには同じ形で色違い。
サムには葉の形が綺麗に残ったもの。
リーナには、淡い青と白を合わせたもの。
リオには……作るかどうか迷った。
子供たちへの記念品のつもりだったけれど、リオも森見学には来ていた。
しかも青豆一号を一番熱心に見ていた一人だ。
ただ、リオに押し花の栞を渡して喜ぶかどうかは分からない。
彼は甘いものの方が分かりやすく喜ぶ。
けれど、本は読まないわけではないらしい。
ミナに聞いたところ、冒険譚なら読むと言っていた。
なら、栞も使う可能性はある。
私は少し考え、リオ用には青い花ではなく、小さな葉を挟んだ栞を作った。
見た目が少し力強い。
リオ豆用、と裏に小さく書く。
ミナには、昨日一緒に作った押し花の中で一番形の良いものを選んだ。
青い花と白い花が並んだもの。
ミナはきっと大切にしてくれる。
そう思うと、渡す前から胸が温かくなった。
私は栞を一枚ずつ布で包み、小さな紐で結んだ。
贈り物を用意するというのは、不思議な作業だ。
相手の顔を思い浮かべる。
喜ぶか考える。
似合う色を選ぶ。
使ってくれる場面を想像する。
屋敷にいた頃、贈り物はよく届いた。
けれど、それは私が選ぶものではなかった。
父様や母様、侍女たちが礼状を書き、返礼品を用意した。
私は形式を覚え、失礼のない言葉を添えるだけ。
誰かの顔を思い浮かべて、何を喜ぶか考える贈り物は、あまり経験がなかった。
今、机の上に並ぶ栞は高価ではない。
宝石でも絹でもない。
けれど、これは私が選んだものだ。
私の花壇で咲いた花を使い、私とミナで押し、私が子供たちの顔を思い出しながら包んだもの。
そう思うと、胸の奥が少しそわそわした。
「……喜んでもらえるでしょうか」
ニコ鳥は何も答えない。
白い石も、リーナの栞も、村の客人札も黙っている。
でも、机の上に並んだ小さな贈り物たちは、どこか誇らしそうに見えた。
私は籠に栞を入れた。
今日は村へ行く日だ。
子供たちの豆の観察。
それから、押し花の栞を渡す。
もう一つ、村長さんから畑の相談もあると昨日ミナの伝言鳥が知らせてくれた。
内容は「小さな収穫の相談」。
詳しくは分からない。
ただ、急ぎではないらしい。
私は記録板、簡単な薬草、栞の入った籠を用意した。
家を出る前に、青豆一号を確認する。
双葉の間から、次の葉が少し顔を出していた。
「今日は村へ行ってきます」
声をかける。
もちろん返事はない。
けれど、葉が風に揺れた。
私は少し笑った。
森の入口では、リオとミナが待っていた。
リオはいつも通り片手を上げる。
「おはよう!」
「おはようございます」
ミナは私の籠を見て、少し目を細めた。
「栞、できたんですね」
「はい。見てもらえますか」
私はミナ用を除いた一枚を取り出した。
ミナは両手で受け取り、光にかざす。
「綺麗……すごく綺麗です」
「本当ですか」
「はい。みんな、絶対喜びます」
その言葉に、胸の奥がほっとした。
リオも覗き込む。
「おお。花がぺたんこだ」
「押し花です」
「これ、本に挟むやつ?」
「はい」
「俺のある?」
意外にも、リオの方から聞いてきた。
私は少し驚きながら頷いた。
「あります」
「本当か!」
「はい。リオ豆用です」
「リオ豆用!?」
リオの顔がぱっと明るくなる。
ミナがくすっと笑った。
「よかったね、リオ兄さん」
「おう。俺、ちゃんと使う」
「失くさないでくださいね」
「失くさない!」
リオは真剣だった。
それを見て、作ってよかったと思った。
三人で村へ向かう。
道中、リオはリオ豆の話をした。
ついに双葉が開いたらしい。
朝から三回見に行ったと聞き、ミナが呆れていた。
「三回は見すぎです」
「だって昨日より開いてたんだぞ」
「豆も見られすぎると困るかもしれません」
「豆は困らないだろ」
「フローラ、どう思いますか」
急に振られた。
私は少し考えた。
「植物は視線で困ることはありません。ただ、人が近づきすぎると土が固くなったり、誤って触れたりする危険はあります」
「ほら!」
ミナが言う。
リオは少し肩を落とした。
「じゃあ、近づきすぎない」
「それがいいです」
「遠くから見る」
「はい」
リオは真剣に頷いた。
豆を育てることで、リオも少しずつ待つことや距離を覚えているのかもしれない。
そう考えると、少し面白かった。
村に着くと、共同畑にはすでに子供たちが集まっていた。
エマが一番に私を見つける。
「フローラ先生!」
子供たちが一斉に手を振る。
私も手を振り返す。
最初の頃より、少し自然にできるようになった。
「おはようございます」
「おはようございまーす!」
元気な声。
村の朝の音。
パンを焼く匂い。
畑の土の匂い。
鶏の鳴き声。
誰かが水を汲む音。
この場所にも、私は少しずつ慣れてきた。
共同畑では、豆たちがそれぞれ成長していた。
マメタは葉が大きい。
ニコ豆は少し曲がりながらも元気。
トト豆とルル豆は成長の差が出ていて、二人がまた言い合っている。
サム豆は相変わらず整っている。
リーナの豆は小さいが色が良い。
リオ豆は、たしかに双葉が開いていた。
リオは腕を組み、誇らしげに見下ろしている。
「どうだ」
「順調です」
「強いか?」
「まだ強さを判断する段階ではありません」
「そっか」
少し残念そうだが、すぐに笑う。
「でも順調ならいい」
「はい。順調です」
子供たちと一緒に観察をした後、私は籠を取り出した。
「今日は、みんなに渡したいものがあります」
その言葉に、子供たちの目が一斉に輝いた。
「何?」
「お菓子?」
「種?」
「薬草?」
「熊の爪?」
「熊の爪はありません」
私は少し慌てた。
何故その選択肢が出たのだろう。
リオが笑っている。
私は布包みを一つずつ取り出した。
「この前、森の家へ来てくれた記念です。押し花の栞を作りました」
「しおり?」
「本に挟むやつ?」
「花!」
まずエマに渡す。
青い花の栞。
エマは包みを開けた瞬間、目を丸くした。
「きれい……!」
「エマには、青い花です」
「私の?」
「はい」
エマは両手で大事そうに持った。
「名前つける!」
「栞に?」
「うん。アオハナちゃん!」
予想通りだった。
私は少し笑った。
「いい名前です」
ニコには白い花の栞。
彼は小さな手で受け取り、じっと見つめた。
「ニコ鳥のお返し?」
「お返しでもあります。でも、森へ来てくれた記念です」
「ありがとう」
ニコは栞を胸に抱いた。
「母さんに見せる」
「はい」
トトとルルには色違い。
二人はすぐに比べ始めた。
「僕の方がかっこいい!」
「私の方がきれい!」
「どちらも違っていいと思います」
私が言うと、二人は少し考えた。
「じゃあ、どっちも強い?」
「栞に強さは……」
言いかけて、リオ豆用の栞を思い出す。
「大切に使えば、どちらも長く残ります」
「じゃあ大事にする!」
「私も!」
サムには葉の栞。
彼はそれを見て、真面目に頷いた。
「葉脈が分かりやすい」
「サムならそう言うと思いました」
「観察に使える」
「使えますが、壊さないように」
「うん」
リーナには青と白の小花。
彼女は包みを開け、言葉を失ったように見つめていた。
「……私に?」
「はい。リーナの栞のお礼も兼ねています」
リーナの目が少し潤む。
「ありがとう……大事にする」
「私も、いただいた栞を大事にしています」
そう言うと、リーナは嬉しそうに笑った。
最後にリオへ。
リオ豆用の葉の栞。
リオは受け取るなり、裏の文字を見て目を輝かせた。
「リオ豆用って書いてある!」
「はい」
「俺のだ!」
「はい」
「すげえ……」
リオは本当に嬉しそうだった。
意外なくらい静かに栞を見つめている。
ミナが優しい顔をしていた。
「よかったね」
「うん。これ、冒険譚に使う」
「失くさないでください」
「絶対失くさない」
そしてミナには、青と白の花を合わせた栞を渡した。
ミナは包みを開けた瞬間、手を止めた。
「綺麗……」
「ミナには、この色が似合うと思って」
言ってから、少し恥ずかしくなった。
ミナは頬を赤くした。
「ありがとうございます。すごく嬉しいです」
「昨日、糸をいただいたので」
「それとは別です。これは、フローラが私を思って選んでくれたものだから」
胸が温かくなる。
私が選んだことを、ミナは分かってくれた。
それが嬉しかった。
周囲の子供たちは、それぞれ栞を見せ合っている。
大人たちも「いいものをもらったね」と声をかけている。
高価ではない。
けれど、皆が喜んでくれている。
私は胸の奥がふわりと温かくなるのを感じた。
贈ること。
それは、相手が喜んでくれた時に、こちらも嬉しくなるものなのだ。
屋敷の贈答では知らなかった感覚だった。
形式ではなく、気持ちが返ってくる。
村長さんが少し離れた場所から見ていた。
私と目が合うと、静かに頷いた。
その頷きだけで、充分だった。
観察会が終わった後、私は村長さんに呼ばれた。
村の端にある小さな畑。
そこには、少し早めに収穫された野菜が並んでいた。
豆、根菜、小さな葉物。
量は多くない。
けれど、村の人たちが集まり、何やら相談している。
バルドさんも腕を組んでいた。
「フローラ、来たか」
「はい。収穫の相談と聞きました」
村長さんが頷く。
「今年は、君が教えてくれた畑の手入れのおかげで、一部の作物の状態が良い。まだ村全体ではないが、少し余裕が出そうだ」
「それは良いことです」
「そうだ。だが、外へ売るには慎重にならねばならん」
私は頷いた。
外へ出すものは噂の種になる。
以前、トマトの話でも出た。
「そこで、まず村の中でどう使うか相談している。子供たちの食事に回すか、保存食にするか、次の種に回すか」
バルドさんが根菜を一つ持ち上げる。
「嬢ちゃんの意見も聞きたい。特に、この根菜だ。思ったより出来がいい」
私は根菜を受け取り、状態を確認した。
大きさ。
水分。
傷。
保存性。
土の匂い。
「これは保存に向いています。すぐ食べる分と、冬用に分けた方がいいです。種にするには、形の良いものを別に選んでください」
「やはりそうか」
「葉物は保存が難しいので、早めに食べるか、塩漬けに。豆は乾燥させれば保存できます。子供たちの食事に少し回すのは良いと思いますが、全部を今食べると冬に困ります」
村人たちが真剣に聞いている。
私は言いながら、少し不思議な気持ちになった。
領地経営の授業で、収穫配分は学んだ。
食料備蓄。
税。
種籾。
市場流通。
災害時の予備。
でも、今目の前にあるのは、紙の上の数字ではない。
実際の野菜。
実際の村人。
子供たちの食事。
冬の保存。
来年の種。
すべてが手で触れられる距離にある。
私は慎重に言葉を選んだ。
「村の中で、まず記録を取るといいと思います。どの畑で、どの手入れをして、どれくらい収穫が増えたのか。来年同じ方法を広げる時に役立ちます」
バルドさんがにやりと笑った。
「記録か。嬢ちゃんらしい」
「必要です」
「分かってる。サムに手伝わせるか」
「サムなら向いていると思います」
村長さんも頷く。
「では、記録係を作ろう。子供たちにも少しずつ教えればいい」
子供たちがまた関わる。
知識が根を張っていく。
私は少し嬉しくなった。
相談の最後に、村長さんが言った。
「フローラ。この収穫は、君のおかげでもある」
「私は助言しただけです。育てたのは村の皆さんです」
「それでも、助けになった」
「……はい」
否定しすぎるのも違うのかもしれない。
私は素直に受け取ることにした。
「嬉しいです」
そう言うと、村長さんは満足そうに頷いた。
昼食の時間、村では少しだけ早い収穫祝いのような雰囲気になった。
大げさな祭りではない。
けれど、いつもよりスープの具が多い。
焼き野菜も少し並んだ。
子供たちは栞を大事そうに持っていて、食事の時も汚さないように布に包んでいる。
リオは自分の栞を何度も確認していた。
「リオ兄さん、そんなに開け閉めしたら傷むよ」
「分かってる。でも見たい」
「本に挟めば?」
「帰ったら挟む」
「今はしまって」
「はい」
リオが素直にしまったので、私は少し驚いた。
「リオが素直です」
「フローラまで言うのかよ」
ミナが笑う。
「大事なものだからね」
「そう。大事だから」
リオは少し照れた顔で言った。
私の贈ったものを、大事と言ってくれる。
胸が温かくなった。
食事の後、エマが私の隣に来た。
「フローラ先生」
「はい」
「アオハナちゃん、家の一番いい本に挟むね」
「どんな本ですか」
「お母さんの料理の本!」
「それは良いですね」
「汚さないようにする」
「はい」
ニコも来た。
「白い花、ニコ鳥の横に置く」
「本には挟まないのですか」
「しばらく飾る」
「それもいいと思います」
リーナは少し離れたところから栞を胸に抱いていた。
ミナがそっと背中を押すと、リーナは小さな声で言った。
「私、これ見ながら、また刺繍する」
「楽しみにしています」
リーナは嬉しそうに頷いた。
その時、村の入口の方で少し声が上がった。
私は反射的にそちらを見た。
村外の人か。
一瞬、胸が冷える。
だが、入ってきたのは隣村の農夫だった。
顔見知りらしく、村人たちが普通に声をかけている。
彼は荷物を持っていて、どうやら道具を借りに来たらしい。
村長さんがすぐに私の方を見た。
そして、軽く頷く。
大丈夫。
そう言ってくれているようだった。
私は小さく息を吐いた。
まだ、外の人を見ると緊張する。
カイルの一件から、それは残っている。
けれど、村の人たちは気づいてくれる。
リオもすぐ近くにいる。
ミナも隣にいる。
私は一人で固まる必要はない。
「怖かった?」
リオが小声で聞いた。
「少し」
「大丈夫。隣村の人だって」
「はい。村長さんも頷いてくれました」
「なら大丈夫だな」
「はい」
半分信じて、半分警戒する。
リオに教わった考え方を思い出す。
全部怖がらなくていい。
でも、警戒をなくさなくてもいい。
その中間でいればいい。
午後、私は村を早めに出た。
収穫相談と栞配りで少し疲れたからだ。
帰りはリオとミナが送ってくれた。
森の道は穏やかだった。
木漏れ日が揺れ、風が葉を鳴らしている。
リオは栞の入った布包みを大事そうに懐に入れていた。
「そんなに気に入ってくれたのですか」
「うん」
リオは少し照れながら頷いた。
「俺、自分のためにこういうのもらうの、あんまりないし」
「そうなのですか」
「食べ物とかはあるけど、これ俺用だろ。リオ豆用って書いてあるし」
「はい。リオ用です」
リオは嬉しそうに笑った。
「大事にする」
ミナも自分の栞をそっと撫でた。
「私も大事にします」
「ありがとうございます」
私は少し俯いた。
「贈るのは、少し緊張しました」
「どうして?」
リオが聞く。
「喜んでもらえるか分からなかったので」
「めちゃくちゃ喜んでたぞ」
「はい。嬉しかったです」
ミナが優しく言う。
「フローラの贈り物は、ちゃんと気持ちが入っていましたから」
「気持ち」
「はい。だから嬉しいんです」
気持ちが入っている。
屋敷の贈答では、格式が大事だった。
相手の身分に合う品。
季節に合うもの。
家格を損なわないもの。
それも大切なのだろう。
けれど、今日の栞は違う。
子供たちの顔を思い出して作った。
それを喜んでもらえた。
私は少しだけ、贈ることを好きになった。
森の家に戻ると、青豆一号は夕方の光の中で揺れていた。
私は畑の前にしゃがみ、リオとミナに今日の収穫相談のことを話した。
村で記録係を作ること。
サムが向いていそうなこと。
子供たちにも少しずつ教えること。
リオは少し考えて言った。
「俺は記録係無理だな」
「そうですね」
「即答!」
ミナが笑う。
「リオ兄さんは観察より見回り係かな」
「それならできる!」
「でも近づきすぎないで」
「分かってる!」
私は笑った。
村の中で、それぞれ役割が見えてくる。
サムは記録。
リオは見回り。
ミナは整理と調整。
バルドさんは畑。
私は見習い先生。
そうやって、みんなで畑を育てていく。
一人で完璧にするのではなく、みんなで少しずつ。
それが村の強さなのかもしれない。
夜。
私は日記帳を開いた。
今日、押し花の栞をみんなに渡した。
エマはアオハナちゃんと名づけた。
ニコはニコ鳥の横に置くと言った。
リーナは刺繍の参考にすると言った。
リオはリオ豆用の栞を大事にすると言ってくれた。
ミナも喜んでくれた。
贈るのは緊張した。
でも、嬉しかった。
村では収穫の相談もした。
私が教えたことが、少しずつ村の畑に広がっている。
記録係を作るかもしれない。
隣村の人が来た時、少し怖かった。
でも、大丈夫だった。
私はペンを止めた。
机の上には、ニコ鳥。
白い石。
村の客人札。
リーナの栞。
そして、ミナからもらった青い糸。
今日は、そこに新しいものは増えていない。
栞は全部渡したから。
けれど、不思議と机の上は寂しくなかった。
贈ったものは、なくなったのではない。
誰かの手元に移った。
エマの料理本に挟まれる。
ニコ鳥の横に置かれる。
リオの冒険譚に挟まれる。
ミナの大切なものになる。
そう思うと、私の家から何かが減ったのではなく、私から伸びた細い糸が村のあちこちに結ばれたような気がした。
私は最後に書いた。
贈り物は、渡すとなくなるものだと思っていた。
でも、今日、渡した後に残るものもあると知った。
誰かが喜んでくれた記憶は、手元に残らなくても消えない。
日記帳を閉じる。
暖炉の火が揺れている。
外は静かな森。
けれど、今夜の静けさはいつもより少し広い。
私の作った栞が、村の家々にある。
そう思うだけで、森と村の間の距離が少し近くなった気がした。
「明日も、畑を見に行きましょう」
私は小さく呟いた。
青豆一号も。
リオ豆も。
ニコ豆も。
それぞれの芽が、少しずつ育っている。
私も、少しずつ。
きっと。




