第11話 青の姫君、見送る背中に祈る
カイルが村を発つ朝、空は薄く曇っていた。
雨が降るほどではない。
けれど、太陽は雲の向こうに隠れ、森の空気はいつもより少し重かった。
私は朝早く目を覚ました。
まだ鳥の声もまばらで、畑の葉には夜露が残っている。
青豆一号は、昨日よりほんの少し背を伸ばしていた。
小さな双葉が開きかけている。
その姿を見て、胸の奥が少しだけ落ち着いた。
「おはよう」
私は青豆一号に声をかけた。
返事はない。
けれど、葉先の露が朝の淡い光を受けて揺れた。
今日は村へ行く。
カイルが出発する。
見送りに行くべきか、少し迷った。
村外の人。
私の髪を見て、王都の噂を口にした旅人。
彼は悪人と決まったわけではない。
むしろ、怪我をして村に助けを求めたただの旅人かもしれない。
でも、私の胸はまだ少し冷えていた。
彼が村を出た後、どこで何を話すか分からない。
森の薬師見習いフローラ。
青い髪の少女。
リーフェ村の客人。
それだけでも、聞く人が聞けば何かを察するかもしれない。
私は畑の土に触れた。
湿り具合はちょうど良い。
水はまだいらない。
芽はゆっくり育っている。
待つことも育てること。
昨日、子供たちにそう言った。
今の私にも必要な言葉だった。
噂を完全に止めることはできない。
カイルの口を縛ることもできない。
なら、私は待つしかないのだろうか。
何が起こるか分からないまま。
それは怖い。
けれど、ただ震えて待つだけではない。
村長さんがいる。
ガルドさんがいる。
リオとミナがいる。
村の人たちも、私を森の薬師見習いとして扱ってくれている。
私は一人で待っているわけではない。
そう思い、私は立ち上がった。
今日は、村の客人札を胸に下げた。
籠には薬草茶と、簡単な傷薬を入れる。
カイルの足の状態を最後に確認するためだ。
それから、青豆一号の観察記録も持った。
村の子供たちに見せるため。
不安だけを持って村へ行くのは嫌だった。
私には先生としての用事もある。
友達に会う用事もある。
それを忘れたくなかった。
結界を整え、家を出る。
森の道の途中で、リオとガルドさんが待っていた。
ミナはいない。
朝の家の手伝いだろう。
リオは私を見ると、片手を上げた。
「おはよう」
「おはようございます」
「大丈夫か?」
挨拶の次に、それだった。
私は少し考えた。
大丈夫か。
完全に大丈夫ではない。
怖い。
緊張している。
でも、行ける。
「少し怖いです。でも、行けます」
正直に言うと、リオは頷いた。
「そっか。じゃあ一緒に行こう」
「はい」
ガルドさんも静かに頷く。
「村長も待っています。カイルは朝食後に発つ予定です」
「分かりました」
三人で村へ向かう。
リオは今日はあまり喋らなかった。
いつもなら森の鳥や木の実、昨日のリオ豆の様子などを話すのに、今日は時々こちらを見て、言葉を飲み込んでいる。
気を遣ってくれているのだろう。
それが少し申し訳なく、でも嬉しかった。
「リオ」
「ん?」
「普通に話しても大丈夫です」
「そうか?」
「はい。静かすぎると、少し緊張します」
リオは目を丸くした後、笑った。
「じゃあ話す。リオ豆、昨日より土が盛り上がってた」
「発芽が近いかもしれませんね」
「だよな! 出たら一番強い豆になる」
「強さの基準は何ですか」
「なんか、こう……太い?」
「茎の太さは大事です」
「だろ!」
いつものリオの声。
森の空気が少し軽くなる。
ガルドさんが横で苦笑していた。
村に着くと、広場にはすでに人が集まっていた。
カイルの荷物はまとめられている。
背負い袋。
杖代わりの木の棒。
村で分けてもらった水袋と食料。
足には私が巻いた布がまだついていた。
村長さんと話している。
周囲の村人たちは、いつもより少し警戒していた。
敵意ではない。
だが、距離がある。
カイルもそれを感じ取っているのか、無理に笑うことはしていなかった。
私が近づくと、村長さんがこちらを見た。
「来たか」
「はい」
カイルも振り返る。
彼の目が一瞬、私の髪に留まる。
けれど今日はすぐに視線を下げた。
「おはよう、フローラ」
「おはようございます。足を見ます」
「ああ。頼む」
私は彼の前にしゃがみ、布を外した。
腫れは引いている。
熱感も少ない。
無理をしなければ歩けるだろう。
「昨日より良くなっています。ただ、まだ走らないでください。長く歩くなら、途中で必ず休んでください」
「分かった」
「傷口は汚れたら洗ってください。こちらの軟膏を一日一度」
小さな容器を渡す。
カイルは少し驚いた顔をした。
「いいのか?」
「はい。薬師見習いとしての処置です」
私はあえてそう言った。
森の薬師見習い。
今の私の名乗り。
カイルはそれを聞き、静かに頷いた。
「ありがとう。森の薬師見習いさん」
その声には、昨日のような詮索の色は少なかった。
完全になくなったわけではない。
けれど、踏み込まないと決めたようだった。
私は少しだけ息を吐いた。
処置を終えると、リオがカイルの前に立った。
「なあ」
「何だ?」
「村で見たこと、変に喋るなよ」
リオの声は真剣だった。
周囲が少し静かになる。
ガルドさんが止めるかと思ったが、止めなかった。
村長さんも黙っている。
カイルはリオを見た。
「変に、とは?」
「フローラのこと。青い髪とか、薬とか、先生とか。面白おかしく喋るな」
リオは拳を握っていた。
「フローラは見世物じゃない」
その言葉に、胸が強く揺れた。
見世物ではない。
青の姫君だった頃、私は多くの人に見られていた。
美しい少女。
高位貴族の娘。
縁談の対象。
神童。
化け物。
いつも何かの名前をつけられ、見られていた。
リオは、それを嫌だと言ってくれている。
私の代わりに。
カイルはしばらく黙っていた。
やがて、背負い袋の紐を握り直し、深く頭を下げた。
「分かった。約束する」
リオはまだ少し疑っている顔だった。
「本当だな」
「ああ。俺にも妹がいる。もし妹が知らない場所で怯えていて、誰かに助けられているなら、余計な噂にされたくないと思う」
カイルの声は静かだった。
「昨日は悪かった。踏み込みすぎた」
彼は私にも頭を下げた。
「すまなかった、フローラ」
私は少し戸惑った。
謝られるとは思っていなかった。
彼は怪しい。
でも、悪人ではないのかもしれない。
人を見極めるのは難しい。
「……分かりました」
私は答えた。
「道中、気をつけてください」
「ああ」
村長さんが前に出る。
「マルクにも話したが、この村にいるのは森の薬師見習いだ。それ以上でも以下でもない」
「承知しています」
「ならいい」
村長さんは短く言った。
そのやり取りを、村人たちが見守っていた。
いつもは賑やかな広場が、今日は静かだった。
子供たちも大人の空気を察している。
エマがミナの後ろからこちらを見ていた。
ニコは母親の手を握っている。
カイルは荷物を背負い、村人たちに礼を言った。
「世話になりました」
村長さんが頷く。
「次は馬を失う前に来い」
その言葉に、少しだけ笑いが起きた。
カイルも苦笑する。
「そうします」
彼は村の外へ向かって歩き出した。
足取りは少しぎこちないが、歩けている。
ガルドさんと村の若者二人が、村の境まで同行することになった。
リオも行こうとしたが、ガルドさんに止められた。
「お前は村に残れ」
「なんで」
「顔に出すぎる」
「出てない」
「出ている」
リオは不満そうだったが、ミナに袖を引かれて諦めた。
カイルの背中が少しずつ遠ざかる。
村の道を抜け、畑の脇を通り、森とは反対側の街道へ向かう。
私はその背中を見つめていた。
彼が何も話さないように。
私のことを外へ運ばないように。
そう祈った。
祈ることしかできないのが、少し歯がゆかった。
でも、リオが言ってくれた。
村長さんも釘を刺してくれた。
カイルも約束した。
今は、それを信じるしかない。
カイルの姿が見えなくなると、広場に少しずつ音が戻った。
誰かが息を吐く。
子供たちが小声で話し始める。
パン屋の女性が「朝のパン、冷めちゃうよ」と声を上げる。
村は再び動き出した。
その流れの中で、リオが私の方を向いた。
「フローラ、大丈夫か」
「はい」
私は少し考えて、言い直した。
「完全ではありません。でも、さっきより大丈夫です」
リオは満足そうに頷いた。
「よし」
ミナが近づいてきて、私の手元を見た。
「手、冷たいです」
「そうですか」
「少し休みましょう」
「でも、子供たちの豆を」
「豆は逃げません」
ミナの声は優しかったが、譲らない響きがあった。
私は少しだけ笑った。
「はい。休みます」
広場の木陰に座る。
ミナが温かい薬草茶を持ってきてくれた。
私が作ったものではない。
村の女性たちが、私の教えた配合を元に淹れてくれたものだ。
カップを両手で包む。
温かい。
香りは少し薄いが、優しい味だった。
「美味しいです」
私が言うと、近くにいた女性が嬉しそうに笑った。
「本当? フローラちゃんのより下手だけどね」
「そんなことはありません。とても温かいです」
女性は少し照れたように笑った。
ミナも隣で微笑む。
「フローラが教えたものが、村の中で使われていますね」
「はい」
それは不思議な感覚だった。
私がいなくても、薬草茶が淹れられる。
私がすべてをしなくても、誰かが覚えて、誰かに出せる。
それは少し寂しいことではなく、むしろ安心することだった。
村が私だけに依存しない。
私も村のすべてを背負わない。
知識が、村の中で根を張っていく。
豆の芽と同じように。
しばらく休んだ後、子供たちがそわそわと集まってきた。
ニコが先頭にいる。
「フローラ先生、ニコ豆見てくれる?」
「はい」
私は立ち上がった。
ミナが心配そうにしたが、私は頷く。
「大丈夫です。休みました」
「無理なら言ってくださいね」
「はい」
共同畑へ向かう。
そこには昨日より少し大きくなった芽たちが並んでいた。
マメタは双葉が開いている。
ニコ豆も、少し曲がりながら元気に伸びていた。
リーナの豆は色が良い。
トトとルルの豆は差が出ていて、二人がまた言い合いをしている。
リオ豆は、まだ出ていなかった。
リオが腕を組んで真剣に土を見ている。
「出ないな」
「昨日植えたばかりです」
「でも出ないな」
「早すぎます」
「待つことも育てること……」
リオは自分に言い聞かせるように呟いた。
子供たちが笑う。
私はそれを見て、胸の中の冷たさが少し溶けるのを感じた。
カイルの背中。
外の噂。
それらはまだ不安だ。
でも、目の前には豆の芽がある。
子供たちがいる。
リオが土を睨んでいる。
ミナが笑っている。
今ここにあるものも、確かに現実だ。
「今日は、芽が出た後の支え方を少し教えます」
私は木板を出した。
昨日より少し簡単な内容。
細い芽を強い風から守る方法。
土寄せ。
小さな支柱。
触りすぎないこと。
子供たちは真剣に聞いた。
カイルの件で不安になった私を、子供たちの真剣な目が現実へ戻してくれる。
先生としてここにいる。
それが、私を支えてくれた。
授業の途中で、ニコが手を上げた。
「先生」
「はい」
「ニコ豆、曲がってるけど、大丈夫?」
「はい。今は大丈夫です」
「まっすぐにしてあげた方がいい?」
「無理に触ると折れることがあります。少し土を支えにして、あとは光の方へ伸びるのを待ちましょう」
「待つ」
「はい」
ニコは真剣に頷いた。
「待つの、できる」
その言葉に、周りの大人たちが少し笑った。
昨日一人で森へ来たニコが言うからこそ、重みがある。
私は微笑んだ。
「はい。ニコは待てます」
ニコは嬉しそうに笑った。
昼食の頃、ガルドさんたちが戻ってきた。
カイルは無事に街道へ出たらしい。
村の境で別れ、北へ向かったという。
ガルドさんは私を見ると、静かに頷いた。
「問題なく発ちました」
「そうですか」
「途中で妙な動きもありませんでした」
「ありがとうございます」
少しだけ肩の力が抜けた。
もちろん、これで全て安心ではない。
彼がこの先どこで何を話すかまでは分からない。
けれど、少なくとも村を出るまでに何か問題は起きなかった。
それだけでも、今はよかった。
村長さんは昼食後、私を少し呼び止めた。
広場の端。
人の声が遠くに聞こえる場所。
「フローラ」
「はい」
「今日はよく落ち着いていた」
「落ち着いていたでしょうか」
「少なくとも、自分の名乗りを崩さなかった」
森の薬師見習い。
私は胸元の木札に触れた。
「少し怖かったです」
「怖い時に、それを認められるのは悪いことではない」
村長さんは静かに言った。
「カイルが約束を守るかどうかは、まだ分からん。だが村としては、今後も同じ方針を続ける。君の家名を外へ出さない。必要以上に力を見せない。村の中では、君を先生として、友人として扱う」
「はい」
「それでいいか」
私は少し考えた。
それでいいか。
私に確認してくれている。
村が勝手に決めるのではなく。
私の意思を聞いてくれている。
「はい。それがいいです」
私は答えた。
「今の私は、森の薬師見習いでいたいです。村の先生で、リオとミナの友達でいたいです」
村長さんの目元が少し柔らかくなった。
「分かった」
それだけだった。
でも、その短い返事がとても心強かった。
午後、私はミナの家に少し寄った。
カイルの件で緊張したから、休んでから帰るようにとミナに言われたのだ。
リオは共同畑でリオ豆を見張っている。
ガルドさんは村の見回り。
ミナの家の台所では、彼女の母親がパンを切っていた。
私は何度か会っているが、家の中でゆっくり話すのは初めてだった。
「いらっしゃい、フローラちゃん」
「お邪魔します」
「今日は大変だったね」
「はい。でも、皆さんがいてくれたので」
ミナの母は優しく笑った。
「そう。ならよかった」
彼女は私に温かいミルクを出してくれた。
蜂蜜が少し入っている。
甘い。
私は両手でカップを持った。
「ありがとうございます」
「いいのよ。子供は甘いものを飲むと落ち着くから」
子供。
またそう言われた。
以前なら、どう反応すればいいか分からなかった。
今も少し分からない。
でも、嫌ではない。
私は小さく頷いた。
「落ち着きます」
ミナの母は嬉しそうに微笑んだ。
ミナは隣で少し安心した顔をしている。
その時間は、とても穏やかだった。
窓の外では洗濯物が揺れている。
台所にはパンの匂い。
棚にはジャムの瓶。
その中に、私とミナで作ったベリージャムもあった。
札にはミナの字で書かれている。
ミナとフローラで作ったベリージャム。
私はそれを見て、胸が温かくなった。
「ちゃんと食べていますか」
私が聞くと、ミナが少し笑った。
「食べていますよ。リオ兄さんがすぐ食べ尽くそうとするので隠しています」
「隠しているのですか」
「はい」
ミナの母が笑う。
「あの子は甘いものを見つけるのだけは得意だからねえ」
「リオらしいです」
私がそう言うと、二人が少し驚いたように私を見た。
「何でしょう」
ミナが嬉しそうに言った。
「今の言い方、友達みたいでした」
「友達です」
「はい」
ミナは笑った。
当たり前のように言えるようになった。
友達です。
それがまた少し嬉しい。
夕方、森へ帰る時、ミナとリオが送ってくれた。
リオ豆はまだ芽が出ていなかったらしい。
リオは少し不満そうだった。
「明日には出る」
「そうですね」
「出なかったら?」
「待ちます」
「……待つ」
リオは真剣に頷いた。
「俺、待つの苦手かも」
「知っています」
「即答だな」
ミナが笑う。
「みんな知ってるよ」
「そんなにか?」
「うん」
リオは少し落ち込んだふりをしたが、すぐに元気になった。
森の家に着くと、青豆一号は朝より少し葉を開いていた。
私は三人でその芽を見た。
小さい。
けれど確かに伸びている。
リオがぽつりと言う。
「カイル、本当に黙ってるかな」
「分かりません」
私は正直に答えた。
「でも、信じたいです」
「俺は半分くらい」
「半分」
「うん。もう半分は見張りたい」
ミナが苦笑する。
「リオ兄さんらしい」
私は少し笑った。
「半分信じる、というのもあるのですね」
「全部信じて裏切られたら嫌だし、全部疑うのも疲れるだろ」
リオの言葉に、私は少し驚いた。
何気なく言ったのかもしれない。
でも、確かにそうだ。
全部信じる。
全部疑う。
どちらも極端だ。
半分信じて、半分警戒する。
それは、今の私に必要な考え方かもしれない。
「勉強になります」
「俺、何か教えた?」
「はい」
リオは照れたように笑った。
「そっか」
夜。
私は日記帳を開いた。
今日、カイルさんが村を発った。
リオが、フローラは見世物じゃないと言ってくれた。
カイルさんは、噂にしないと約束した。
本当に守ってくれるかは分からない。
でも、半分信じて、半分警戒するという考え方をリオに教わった。
ニコ豆は元気だった。
リオ豆はまだ出ていない。
ミナの家で温かいミルクをもらった。
子供は甘いものを飲むと落ち着く、と言われた。
私は、少し落ち着いた。
私はペンを止めた。
今日もいろいろあった。
怖いこと。
嬉しいこと。
不安なこと。
温かいこと。
全部が混ざっている。
私は最後に書いた。
私は今、森の薬師見習いでいたい。
村の先生でいたい。
リオとミナの友達でいたい。
それは、私が選んだことだ。
書き終えた後、その一文を何度も見た。
私が選んだこと。
それは、これまでの私にとってあまり馴染みのない言葉だった。
でも今は、少しずつ分かる。
森に捨てられたことは、私が選んだことではない。
けれど、ここで畑を耕すこと。
村へ行くこと。
友達を信じること。
先生を続けること。
それは、私が選べる。
私は日記帳を閉じた。
窓の外は静かだ。
青豆一号は夜の中で見えない。
でも、そこにある。
村の共同畑にも、たくさんの芽がある。
リオ豆はまだ土の中。
カイルは街道のどこか。
噂は、まだ見えない。
見えないものばかりだ。
それでも、私は今日を終えられた。
明日も畑を見よう。
リオ豆が芽を出したか聞こう。
ニコ豆の曲がり具合も確認しよう。
ミナに、温かいミルクのお礼を言おう。
そう考えると、明日が少し怖くなくなる。
「おやすみなさい」
私は小さく呟いた。
誰に向けたのかは分からない。
青豆一号へ。
村へ。
友達へ。
それとも、自分へ。
暖炉の火が、ぱちりと鳴った。
その音を聞きながら、私はゆっくり目を閉じた。




