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『持たざる国』〜成膜ミスの不良品がガソリンの2.8倍の熱量を出した件。現場の技術者ですが、なぜか国家の外交カードにされています〜

作者:toika
最新エピソード掲載日:2026/10/27
「……成膜時間、間違えた」
すべての始まりは、一人の技術者の単純なミスだった。
国の支援を受けて開発された新材料の評価中、規定の三倍という誤った条件で作られた一枚の試験片。
本来なら廃棄されるはずだったそれは、見る角度によって虹色に輝き、水に触れると異常な熱を放った。
偶然か。
測定ミスか。
それとも、未知の現象か。
上司、物性分析の主任、そして技術部門の最高位に立つ技術顧問。
小さな違和感から始まった調査は、やがて「狙って作れる技術」へと姿を変えていく。
そして明らかになった、異常なエネルギー量。
重量あたり、ガソリンの約2.8倍。
安価な材料。
微量の添加元素。
既存設備の延長で成立する製造工程。
数センチ角の試験片は、一企業だけでは扱えない存在になっていた。
一方、中東で資源外交に奔走する外交官。
彼女はわ日本の弱さを嫌というほど知っていた。
資源を持つ国と、持たない国。
交渉の席で、その差は絶対だった。
だが彼女はまだ知らない。
日本がこれまで持ったことのないカードが、すでに国内で生まれていることを。
一人の技術者の失敗から始まる、企業・国家・外交、そして世界のエネルギー秩序をめぐる物語。
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