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勇者と魔王

勇者と魔王、温泉に行く。

作者:芳Hacca
最終エピソード掲載日:2026/09/20
勇者と魔王。

人間と魔族、それぞれの勢力を率いる二人は、日本各地で長年しのぎを削ってきた宿敵――と、世間では思われている。

そんなある日。

勇者から魔王へ一通のLINEが届いた。

『来月、空いてる?』

実は二人、大学時代の同級生だった。

卒業後、それぞれ勇者と魔王になってからは疎遠になり、気づけば十数年。
三十五歳になった二人は、久しぶりに二人だけで会うことになる。

行き先は、学生時代に金がなくて行けなかった草津温泉。

温泉まんじゅうを食べ、湯畑を歩き、温泉に浸かり、酒を飲む。

話すのは、昔の思い出――だけではない。

言うことを聞かない部下。
無茶を言ってくる上層部。
減らない仕事。
使えない有給。
そして、責任ある立場になったからこその悩み。

勇者も魔王も、三十五歳。

世界を背負うには少し疲れていて、
昔の友人と温泉に行くには、ちょうどいい歳になっていた。

これは勇者と魔王が戦いを繰り広げる物語ではない。

組織に疲れ切った勇者と魔王が、草津温泉へ行く物語である。
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