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婚約解消を承りました。今年の夏、氷室の鍵はお預かりしたままです 〜避暑の宴に氷が届かないのは、わたくしの落ち度ではございません〜

作者:遠野ひなこ
最終エピソード掲載日:2026/08/15
氷室の鍵は、お返しいたしません。

冬の湖から氷を切り出し、藁と鋸屑に埋めて夏まで貯める。三年のあいだ、それを数えていたのはわたくしでございました。婚約者のアルヴィン様が「今年は客が増える、氷は倍に」と仰った日、わたくしは婚約の解消をお願いしました。

今年の切り出しは千二百箱。月に一割ずつ融けますから、六月十日の避暑の宴には七百箱が残ります。ですがその七百箱は、リンデ家の氷でございます。

王都からお取り寄せになるそうですね。街道は六日でございます。

声は荒げません。仕返しもいたしません。わたくしはただ、いつもどおり帳面のとおりに氷を配るだけでございます。——宴の氷桶が空になるのは、わたくしの落ち度ではございません。

全15話・完結保証。毎日更新でお届けします。

静かなカタルシスと、検算できる数字がお好きな方へ。
※恋愛要素は控えめです。婚約者との復縁はございません。
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