ノスフェラトゥ　

　陽の光を毒とするルシアンはこれまでの人生の殆どを暗い日陰の下で孤独に過ごした。

　症状が緩和すると共に故郷を離れ、冒険者となった彼はその持ち前の身体能力により仲間たちから一目置かれていた。

　そんな時、一人の友人からとあるダンジョンクエストの同行を勧められる。

　承諾するルシアン、道中こそ順調に進んでいたものの、最下層で待ち受けていたのは正体不明の怪物たちだった！

　負傷し、消耗する仲間たち。そんな時、ルシアンはある決断を下す。仲間を逃がし、彼一人で怪物の足止めを引き受けたのだ。

　孤軍奮闘も虚しく、彼は敗れ、怪物の腹の中に消えた。

　……死の淵で彼は”誰か”の声を聞く。

　次に目覚めた時、目の前に広がるのは蹴散らされた怪物たちの死骸と彼に怯える仲間の姿だった。

　拒絶されることを恐れ、彼は仲間の元から離脱する。

　そして悟った。

　異常な身体能力、日を嫌う肌、水流を拒む本能、そして仲間に向けられた吸血衝動。

　そう……彼は——


「俺は——“吸血鬼”だ……」

　自らも怪物となった彼の行く末は……。