十秒の空白
最終エピソード掲載日:2026/10/20
十二年前、山頂で姉が落ちた。
十四時三十二分。
落ちていく姉の手首を、最後まで掴んでいたのは義兄だった。
看護師の早坂七海は、その手を信じていた。車椅子で暮らす姉・千尋のために、段差のない家を建てた義兄・湊。穏やかな二人の生活を、七海は疑ったことがなかった。
湊の元恋人が現れるまでは。
「あの日、湊は山頂で、千尋さんに別れを告げるはずだったの」
十二年の献身に、別の意味が生まれる。愛しているから、そばにいるのか。罪悪感から、離れられないのか。
あの一瞬、その手は本当に緩まなかったのか。
七海にも、聞かなかった言葉がある。事故の朝、実習を理由に切った、姉からの電話。義兄を責めると、胸が軽くなる。その軽さが、怖い。
手がかりは、姉が山頂に据えていたカメラ。十秒ごとにシャッターを切り続けていたはずの写真は、すべて消されていた。
誰が消したのか。そこに、何が写っていたのか。
献身と疑惑、姉妹の後悔、夫婦の選択を静かに描く、大人のための心理サスペンス。
全十五話の作品です。最後の一行まで、お読みください。
十四時三十二分。
落ちていく姉の手首を、最後まで掴んでいたのは義兄だった。
看護師の早坂七海は、その手を信じていた。車椅子で暮らす姉・千尋のために、段差のない家を建てた義兄・湊。穏やかな二人の生活を、七海は疑ったことがなかった。
湊の元恋人が現れるまでは。
「あの日、湊は山頂で、千尋さんに別れを告げるはずだったの」
十二年の献身に、別の意味が生まれる。愛しているから、そばにいるのか。罪悪感から、離れられないのか。
あの一瞬、その手は本当に緩まなかったのか。
七海にも、聞かなかった言葉がある。事故の朝、実習を理由に切った、姉からの電話。義兄を責めると、胸が軽くなる。その軽さが、怖い。
手がかりは、姉が山頂に据えていたカメラ。十秒ごとにシャッターを切り続けていたはずの写真は、すべて消されていた。
誰が消したのか。そこに、何が写っていたのか。
献身と疑惑、姉妹の後悔、夫婦の選択を静かに描く、大人のための心理サスペンス。
全十五話の作品です。最後の一行まで、お読みください。
第1話 段差のない家
2026/10/08 21:10
第2話 罪悪感の檻
2026/10/08 21:20
第3話 白い手すり
2026/10/08 21:30
第4話 下りたら、話がある
2026/10/09 21:10
第5話 「……そう」
2026/10/10 21:10
(改)
第6話 自分で選んで
2026/10/11 21:10
第7話 掴む手
2026/10/12 21:10
第8話 押し入れの奥
2026/10/13 21:10
第9話 尋ねなかった人
2026/10/14 21:10
第10話 復元
2026/10/15 21:10
第11話 十四時二十分
2026/10/16 21:10
第12話 消したのは
2026/10/17 21:10
第13話 十四時三十二分
2026/10/18 21:10
第14話 忘れちゃった
2026/10/19 21:10
第15話(最終話) 今度は、離さない
2026/10/20 21:10