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月夜の迷い子

作者:
最新エピソード掲載日:2026/03/09
「ただの人間です。道に迷っただけですので、お構いなく」

ブラック企業勤めの記憶を持つ青年・湊(ミナト)は、気づけば見知らぬ異世界の森にいた。
目の前に浮かぶシステムウィンドウには、**【種族:エラー】【ステータス:測定不能】**という不穏な文字。

さらには、歩けば大地が勝手に道を開け、願えば泥沼が清らかな湖に変わり、太陽の神さえもが「親愛」という名の過剰な熱視線を送ってくる。

だが、元サラリーマンの湊はそれを手放しには喜べない。
「――こんな美味い話、裏があるに決まってる。このチート、後でとんでもない請求が来るんじゃ……?」

身の危険(主に寿命や魂の取り立て)を感じた湊は、過剰な恩恵を「システムのバグ」だと決め込み、目立たず平穏に暮らすため、辺境の小さな教会へと逃げ込むことに。

しかし、彼の「人間らしい」善意やビジネスマナーは、ことごとく神話級の奇跡へと変換されてしまう。
病を癒やし、伝説の果実を配り、ついには「神の代弁者」である巫女までが彼を追って辺境へやってくる事態に――。

本人の預かり知らぬところで「伝説の月主」として祀り上げられていく、自称・平凡な男の勘違い異世界滞在記。

月は地上に降り、人はそれを奇跡と呼ぶ。
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