第13話 全知の能力と、不便なUI
会内の与えられた部屋にて、ミナトは改めてステータス画面を眺めていた。
***
名前:ミナト(ミナト・ツキシロ)
種族:———【エラー】
職業:———【エラー】
レベル:1(上限突破済)
体力:測定不能
魔力:測定不能
運:B ※新月に向かい減少中
【基本性能】
・環境適応:毒・呪い・低温高温・酸欠など、生存に適さないあらゆる外的要因をシャットアウト
・自動翻訳:全言語を認識・出力
・インベントリ:時間停止付き無限収納
・威圧(自動調整):敵対者の戦意を喪失させる
・鑑定:対象の名称と概要を表示
【固有性能】
・夜の主人:夜または暗所において全事象を支配
・静寂の領域:範囲内の動きを鎮静または鈍化させる
・水鏡の真実:液体を媒介にあらゆる情報を参照
・夢の渡りびと:睡眠中の他者の意識に干渉可能
・月下の癒し:月光のもとで、あらゆる損傷を回復
・不浄を嫌うもの:穢れを自動的に浄化
【加護】
・———【エラー】
・創造神の寵愛:世界そのものがあなたを愛します
・太陽神の親愛:あなたの行先に、常に温かい光がありますように
・水神の敬愛:すべての流れは、あなたを潤すために
・地母神の畏怖:大地はあなたの道を妨げません
【称号】
・記憶を失いしもの
・夜に愛されしもの
***
「うーん・・・。情報を知るには、鑑定とか、この水鏡の真実ってやつかな?」
今まで、ミナトはあまり自分から能力を使ってこなかった。
ほぼ常に、自動的に、あるいはミナトの内心に従って半自動的に発動している。
しかし、このまま無知なままでは良くないだろう。
能力はどこまで信用できるのかわからないが、情報は多い方がいい。
そういうわけで、ミナトは情報を得るため、ほぼ初の能力行使をしようとしていた。
「液体を媒介にする、か」
ミナトは、軽く周りを見回して、机の上のカップを見た。
先ほどシスターが差し入れてくれたハーブティーだ。
「あれでいいか」
ミナトはベッドから立ち上がり、椅子に座る。
カップの中には、薄黄色のお茶に銀髪の男が写っている。
「えーと、何を見よう?・・・とりあえず、試しに周辺の情報を見たいな。マップみたいに見れるかなっと。【水鏡の真実】」
スキルの使い方については、誰にも聞けていない。
周囲は皆ミナトに好意的ではあるが、それはチート能力によって神と誤解されているからであって、ミナト自身の味方かはわからなかった。
そんな状態で、能力の使い方がわからないなんて相談するわけにはいかない。
テキトーにスキル名を口にしてみたミナトだったが、無事能力は発動したようだった。
カップの中には、様々な情報が浮かんでは消えていく。
とはいえ。
「小さくて、見にくい・・・」
カップは、手のひらサイズであり、情報を絞らなかったせいか、表示されるものが多すぎる。
ザッピングのように、数瞬で浮かんでは消える画像や文字に、ミナトは辟易した。
これでは情報を知るどころではない。
この教会に住む人々の名前や年齢に始まる履歴書のような経歴、街中の店の商品リスト、森に住む魔物や動物の姿や生態、果ては、領主館の地下に眠る忘れ去られた宝物庫の財宝リストなどなど。
それらが小さなカップの中で、小さな字や画像となって表示されるのだから、「これは無理だ」となるのは、当然のことだった。
情報を絞ったところで、小さなカップの水面に表示できる内容なんて、たかが数文だろう。
もっと大きな水面が必要だが、人に相談すれば、当然情報を一人で見ることは叶わない。
「ひと気がなくて、大きな水面か・・・あ!」
ミナトはつい先日綺麗にした湖を思い返した。
「でもなあ、あそこは今や人気のスポットらしいし」
部屋をうろうろしていると、開けた窓から突然さあっと爽やかな風が入ってきた。
今まで無風だったのに?
風に導かれて、窓の外を見れば、教会の裏庭で子供たちが遊んでいる。
きゃあ、きゃあと、子供たちが池で遊んでいた。
不思議なほど、今まで声が聞こえなかった。
「あ、ここ池あるのか」
とはいえ、今は遊ぶ子供たちと、見守るシスターたちがいる。
「夜に覗いてみるか」




