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月夜の迷い子  作者:
第二章 広がる神話
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14/15

第13話 全知の能力と、不便なUI

会内の与えられた部屋にて、ミナトは改めてステータス画面を眺めていた。


***


名前:ミナト(ミナト・ツキシロ)

種族:———【エラー】

職業:———【エラー】


レベル:1(上限突破済)

体力:測定不能

魔力:測定不能

運:B ※新月に向かい減少中


基本性能パッシブ

・環境適応:毒・呪い・低温高温・酸欠など、生存に適さないあらゆる外的要因をシャットアウト

・自動翻訳:全言語を認識・出力

・インベントリ:時間停止付き無限収納

・威圧(自動調整):敵対者の戦意を喪失させる

・鑑定:対象の名称と概要を表示


固有性能アクティブ

・夜の主人:夜または暗所において全事象を支配

・静寂の領域:範囲内の動きを鎮静または鈍化させる

・水鏡の真実:液体を媒介にあらゆる情報を参照

・夢の渡りびと:睡眠中の他者の意識に干渉可能

・月下の癒し:月光のもとで、あらゆる損傷を回復

・不浄を嫌うもの:穢れを自動的に浄化


【加護】

・———【エラー】

・創造神の寵愛:世界そのものがあなたを愛します

・太陽神の親愛:あなたの行先に、常に温かい光がありますように

・水神の敬愛:すべての流れは、あなたを潤すために

・地母神の畏怖:大地はあなたの道を妨げません


【称号】

・記憶を失いしもの

・夜に愛されしもの


***


「うーん・・・。情報を知るには、鑑定とか、この水鏡の真実ってやつかな?」

今まで、ミナトはあまり自分から能力を使ってこなかった。

ほぼ常に、自動的に、あるいはミナトの内心に従って半自動的に発動している。

しかし、このまま無知なままでは良くないだろう。

能力はどこまで信用できるのかわからないが、情報は多い方がいい。

そういうわけで、ミナトは情報を得るため、ほぼ初の能力行使をしようとしていた。


「液体を媒介にする、か」

ミナトは、軽く周りを見回して、机の上のカップを見た。

先ほどシスターが差し入れてくれたハーブティーだ。

「あれでいいか」

ミナトはベッドから立ち上がり、椅子に座る。

カップの中には、薄黄色のお茶に銀髪の男が写っている。

「えーと、何を見よう?・・・とりあえず、試しに周辺の情報を見たいな。マップみたいに見れるかなっと。【水鏡の真実】」

スキルの使い方については、誰にも聞けていない。

周囲は皆ミナトに好意的ではあるが、それはチート能力によって神と誤解されているからであって、ミナト自身の味方かはわからなかった。

そんな状態で、能力の使い方がわからないなんて相談するわけにはいかない。


テキトーにスキル名を口にしてみたミナトだったが、無事能力は発動したようだった。

カップの中には、様々な情報が浮かんでは消えていく。

とはいえ。

「小さくて、見にくい・・・」

カップは、手のひらサイズであり、情報を絞らなかったせいか、表示されるものが多すぎる。

ザッピングのように、数瞬で浮かんでは消える画像や文字に、ミナトは辟易した。

これでは情報を知るどころではない。


この教会に住む人々の名前や年齢に始まる履歴書のような経歴、街中の店の商品リスト、森に住む魔物や動物の姿や生態、果ては、領主館の地下に眠る忘れ去られた宝物庫の財宝リストなどなど。

それらが小さなカップの中で、小さな字や画像となって表示されるのだから、「これは無理だ」となるのは、当然のことだった。

情報を絞ったところで、小さなカップの水面に表示できる内容なんて、たかが数文だろう。

もっと大きな水面が必要だが、人に相談すれば、当然情報を一人で見ることは叶わない。

「ひと気がなくて、大きな水面か・・・あ!」


ミナトはつい先日綺麗にした湖を思い返した。

「でもなあ、あそこは今や人気のスポットらしいし」

部屋をうろうろしていると、開けた窓から突然さあっと爽やかな風が入ってきた。

今まで無風だったのに?

風に導かれて、窓の外を見れば、教会の裏庭で子供たちが遊んでいる。

きゃあ、きゃあと、子供たちが池で遊んでいた。

不思議なほど、今まで声が聞こえなかった。

「あ、ここ池あるのか」


とはいえ、今は遊ぶ子供たちと、見守るシスターたちがいる。

「夜に覗いてみるか」


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