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伏魔の恵〜異世界水滸伝〜

最新エピソード掲載日:2026/11/09
 山陰一のコングロマリット「松江グループ」の御曹司として帝王学を叩き込まれて育った中学二年生・松江恵太。「力ある者は、見返りを求めず弱者を救わねばならない」――その教えを純粋に信奉する彼の底なしの善性は、やがて取り返しのつかない厄災の引き金となる。
 林間学校の夜。不可解な事故により外界から遮断された出雲の深山で、恵太と同級生たちは古き因縁が眠る謎の遺跡『伏魔殿』へと迷い込む。
 固く閉ざされた巨大な石門の奥から響く、助けを求める悲痛な呻き声。
「どんな相手だろうと見捨てない。責任は、僕が取る!」
 扉に刻まれた『遇恵而開(恵に遇いて開く)』の古代文字を己の宿命と信じ、恵太がその封印を解き放った瞬間――世界は暗転した。
 彼らが弾き飛ばされたのは、中華の退廃と和の神秘が混交する異形のファンタジー世界。
 そして恵太が解放してしまったのは、かつて天界を追放された『108の魔星』だった。四散した魔星の力は、共に異世界へ放り出された同級生たちの身に宿り、彼らを過酷な争いの渦中へと引きずり込んでいく。
 流れ着いた地は、苛烈な圧政が敷かれたもう一つの「山陰」。
 地方の利権を貪り領民を虫けらのように扱う悪辣な権力者・高田修司。そして、その背後で帝国の都を焦土に変え、狂気の圧政を敷く絶対の暴王・菫山卓。
 己の純粋すぎる「善意」と「責任感」が、仲間たちを血と泥に塗れた地獄へ突き落としてしまった。その凄惨な現実と自らの原罪を前に、恵太は血の滲む拳を握り締める。
「僕の偽善で地獄に落としたなら……僕が全員を連れて、正しき日常へ生きて還る!」
 散り散りになった108の魔星(同級生)たちを探し出し、理不尽な世界に抗うための義兄弟の誓い。恵太の手中に残された『伏魔殿の鍵』だけが、元の世界へ還る唯一の希望だった。
 過酷な暴力と不義が吹き荒れる異世界を舞台に、すべてを失った少年たちの、絶望と贖罪に満ちた壮絶な反逆の旅(水滸伝)が幕を開ける――。

※この物語はカクヨムにも投稿しています
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