「手がかからない姉なんだから、花嫁衣裳も婚約者の座も妹に譲れ」と父が言うので、私個人の名義をすべて引き揚げて氷狼公爵閣下に嫁ぎます
最新エピソード掲載日:2026/11/05
「お前は昔から手がかからない姉なんだから、来月の花嫁衣裳も婚約者の座もロッテに譲りなさい」
婚礼をひと月後に控えた朝、ヴァルモール伯爵家の長女フィーネは、父と婚約者カシアンから、自分の寸法で仕立てた花嫁衣裳と婚約者の座を妹ロッテに譲るよう命じられた。
――その朝、フィーネはひとつの生々しい『悪夢』から目覚めていた。言われるがまま全てを譲り、三年間ただ働きで実家と妹夫婦を支え続けた挙句、濡れ衣を着せられて凍える別棟で命を落とす記憶を。
「仰せの通りにいたします、お父様、カシアン様」
フィーネは涙ひとつこぼさず婚約譲渡書に署名し、引き換えに「今後フィーネ個人の名義・印章に関わる手配はすべて引き揚げる」という確認書に二人の署名と実印を取って、その日のうちに屋敷を出る。
王妃宮へ納める特級『白銀香油』の献上枠も、王立銀行の特別融資枠・金貨三千枚の連帯保証も、両家の『冬越え保温魔石』二十四基の調律契約も、亡き祖母が遺した婚姻助成金二千枚も――すべて『フィーネ個人』の名義と印章で成り立っているとも知らずに。
門の前で待っていた馬車の主は、『氷狼公爵』と恐れられる王立通商監査院総裁ジークハルト・フォン・アシェンバルト閣下。
「一年間の契約結婚」のはずが、不器用な公爵様は初日から甘やかす気満々で、時折ひどく熱く独占欲の滲む瞳で囁くのだ。
「誰の目にも触れぬ場所へ閉じ込めて、二度と我慢などという言葉を思い出せなくなるまで甘やかしてしまおうか」と。
※★印の回は公爵視点・元婚約者視点・実家視点が入ります。
婚礼をひと月後に控えた朝、ヴァルモール伯爵家の長女フィーネは、父と婚約者カシアンから、自分の寸法で仕立てた花嫁衣裳と婚約者の座を妹ロッテに譲るよう命じられた。
――その朝、フィーネはひとつの生々しい『悪夢』から目覚めていた。言われるがまま全てを譲り、三年間ただ働きで実家と妹夫婦を支え続けた挙句、濡れ衣を着せられて凍える別棟で命を落とす記憶を。
「仰せの通りにいたします、お父様、カシアン様」
フィーネは涙ひとつこぼさず婚約譲渡書に署名し、引き換えに「今後フィーネ個人の名義・印章に関わる手配はすべて引き揚げる」という確認書に二人の署名と実印を取って、その日のうちに屋敷を出る。
王妃宮へ納める特級『白銀香油』の献上枠も、王立銀行の特別融資枠・金貨三千枚の連帯保証も、両家の『冬越え保温魔石』二十四基の調律契約も、亡き祖母が遺した婚姻助成金二千枚も――すべて『フィーネ個人』の名義と印章で成り立っているとも知らずに。
門の前で待っていた馬車の主は、『氷狼公爵』と恐れられる王立通商監査院総裁ジークハルト・フォン・アシェンバルト閣下。
「一年間の契約結婚」のはずが、不器用な公爵様は初日から甘やかす気満々で、時折ひどく熱く独占欲の滲む瞳で囁くのだ。
「誰の目にも触れぬ場所へ閉じ込めて、二度と我慢などという言葉を思い出せなくなるまで甘やかしてしまおうか」と。
※★印の回は公爵視点・元婚約者視点・実家視点が入ります。
第一話 花嫁衣裳と、四つの鍵の引き揚げ
2026/10/29 01:14
第二話 氷狼公爵の馬車と、焼きたての蜂蜜タルト
2026/10/29 01:24
第三話 ★三年前の雪の夜と、氷狼公爵の秘めた執着【公爵視点】
2026/10/29 01:36
第四話 十時間の眠りと、最初の鍵『白銀香油』の検品
2026/10/29 01:47
第五話 深夜のホットミルクと、薬指の包帯
2026/10/29 20:43
第六話 ★凍結された特別融資枠と、読めない複式帳簿【元婚約者視点】
2026/10/30 20:43
第七話 氷青色のドレスと、「閉じ込めて甘やかしたい」囁き
2026/10/31 08:47
第八話 初霜の朝と、三つ目の鍵『冬越え保温魔石』の解除
2026/10/31 20:43
第九話 ★温室の雪結晶と、外すつもりのない理性の鎖【公爵視点】
2026/11/01 20:43
第十話 薔薇香油の呼び出し状と、悪夢の記憶の先回り
2026/11/02 20:43
第十一話 水上回廊の罠と、宙を舞った白銀カメオ
2026/11/03 20:43
第十二話 十一月十五日の鐘と、四つ目の鍵の審判
2026/11/04 20:42
第十三話 お姫様抱っこと、夜明けまで離れない掌の熱
2026/11/05 20:42