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あいつが英雄になる前に、告白しておけばよかった

最終エピソード掲載日:2026/10/08
二年前、幼馴染のクルトが何かを言いかけた夜、私は焼き立てのパンを押しつけて、扉を閉めた。 好きだった。だから、帰ってこないかもしれないあいつと、約束をするのが怖かった。

そのクルトが、竜を倒して帰ってきた。 片や国中が讃える英雄様。片や朝四時から粉を捏ねるパン屋の娘。今さら好きだなんて、言えるわけがない。

なのに、王宮で祝宴が開かれているはずの夜、うちの裏口が叩かれた。

「ハンナ。あの夜の話、まだ終わってねえぞ」

上等な甲冑を泥だらけにして、あいつは私を睨んでいる。 まずは何か食べさせなきゃ。そう思ってしまうから、いつまでたっても諦められない。
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