天文密奏録 第〇四七号別紙五
最新エピソード掲載日:2026/09/20
北海道の山で、人が消える。見つかるのは、熊に食われた姿で。市も警察も、そう処理する。だが猟歴五十二年の男が、ひとつだけ、見たことがないと言った。――掛け直して、食わない熊はいない。
竹内莉子は、伺見。土地や人に立つ、ふつうでない気配を、寮では気色と呼ぶ。伺見はそれを視て、記す。いつ、どこで、何を視たか。それだけを書き、封をして、上へ回す。原因は書かない。所感も書かない。決めるのは、伺見ではない。
勤め先は暦象事務局。表向きは、暦を調べる役所である。処置は四つ――鎮め、封じ、断ち、そして、記す。鎮められず、断つ手立てもないものは、ただ記録する。由来の欄は、空欄のまま。
門司から札幌へ。辞令の事由は、「障りの消失を待つ」。北の地で莉子は、初めて自分の手で、消えていく人々を記しはじめる。数える。書く。決めない。
事件は解決しない。誰も、原因を書かない。誰も、全体を知らない。明治九年から百五十年、読む者のないまま、記録だけが地の底に積まれていく。
視て、記す。それだけの目を通して綴られる、静かな異変の記録。
竹内莉子は、伺見。土地や人に立つ、ふつうでない気配を、寮では気色と呼ぶ。伺見はそれを視て、記す。いつ、どこで、何を視たか。それだけを書き、封をして、上へ回す。原因は書かない。所感も書かない。決めるのは、伺見ではない。
勤め先は暦象事務局。表向きは、暦を調べる役所である。処置は四つ――鎮め、封じ、断ち、そして、記す。鎮められず、断つ手立てもないものは、ただ記録する。由来の欄は、空欄のまま。
門司から札幌へ。辞令の事由は、「障りの消失を待つ」。北の地で莉子は、初めて自分の手で、消えていく人々を記しはじめる。数える。書く。決めない。
事件は解決しない。誰も、原因を書かない。誰も、全体を知らない。明治九年から百五十年、読む者のないまま、記録だけが地の底に積まれていく。
視て、記す。それだけの目を通して綴られる、静かな異変の記録。
第一部 気色
第〇章 明治九年三月五日 子ノ刻過
2026/09/20 00:00
第一章 令和〇八年〇六月三〇日 一四時〇〇分
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第二章 九十一歳
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第三章 令和〇八年〇七月〇二日 〇九時三〇分
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第四章 牧草
2026/09/20 00:00
第五章 令和〇八年〇七月〇八日 一一時二〇分
2026/09/20 00:00
第六章 開拓碑
2026/09/20 00:00
第七章 令和〇八年〇七月一四日 一六時四五分
2026/09/20 00:00
第八章 除雪三号車
2026/09/20 00:00
第九章 令和〇八年〇七月二〇日 〇五時〇〇分
2026/09/20 00:00
第十章 アンテナ
2026/09/20 00:00
第十一章 令和〇八年〇七月二三日 〇五時一二分
2026/09/20 00:00
第十二章 密奏 第〇四七号
2026/09/20 00:00
第十三章 二人
2026/09/20 00:00
別紙 用語集
2026/09/20 00:00