別紙 用語集
本作には、律令の陰陽寮に由来する耳慣れない語が出てきます。物語のなかで自然に分かるようにしてありますが、読みの助けに、主な語をまとめました。物語の謎に触れる説明は避けています。読み終えてから開いても構いません。
■ 組織
暦象事務局……主人公たちの勤め先。表向きは「暦を調べる役所」。職員はふだん「寮」と呼ぶ。
寮……暦象事務局の、職員内での呼び名。
本寮……統括と書庫のある本部。
北寮/第一観測所……北海道を受け持つ観測所。物語の主な舞台。
門司/第二観測所……主人公の前任地。西日本を受け持つ。
■ 職と役
伺見……気色を視て、初見を記す者。原因や所見は書かず、処置も決めない。主人公の職。
陰陽師……鎮め・封じを行う術者。
陰陽属……記録に封をする役。
陰陽允……現場の指揮、案件ごとの責任者。
陰陽助……観測所長など。決める役。
破落戸/実務二課……荒事――断ち――を担う。寮の外から招かれる。
守辰丁……二十四時間三交代の当直。
透波……事象のさらに外を観測し、いち早く察知する役。聴断では八方(八つの方位)に立つ。面をつけ、顔を見せない。
天文博士……観測した記録を解析する。
暦博士……それが常か、変かを判定する。
■ 処置(四つの手立て)
鎮……相手の言い分を聞いて、直す。
封……封じる。
断……断つ。
記……手立てがないとき、ただ記録する。
■ 層(案件の区分)
一層……相手に言い分がある。聞けば済む。
二層……言い分は通じないが、確かに在る。封じるか、断てる。
三層……そのどれも効かない。手立てがなく、ただ記す。
■ 文書
密奏……観測を記した正式の記録。
初見……最初にその気色を視て、記録すること。
気色……土地や人に立つ、ふつうでない気配。その場の状態。
由来……原因の欄。分からないものは書かない(=空欄)。
差遣/損耗……派遣した人員/失われた人員。
別紙……添付の資料。本文には綴じ込まれない。
伺……上へ判断を仰ぐための上申。
指令……伺への回答。
台帳……書架ごとの、累積の目録。
架蔵……どの層の、どの架に納めるか。
■ 所作・儀式
蔵面……面。直には視ず、面越しに視るために着ける。
反閇/禹歩……鎮めのときに踏む、片足を引きずる歩法。
聴断……二層と三層を分ける、正式の判定の儀式。
護摩壇……聴断で火を焚く壇。
九字……聴断で切る印。
■ 書庫
書庫……本寮の地下。放射状に八つの書架が延びる。
層……上ほど古く、下ほど新しい。満ちるごとに、一階下を掘る。
八架……乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌。事案の起きた方位で、納める架が決まる。
三ノ七……三列目の七番目、という配架の位置。
■ その他
障り……術や、強い気色に接した者が、身のうちに負うもの。悪化するか、現状維持か。快方はない。




