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天文密奏録 第〇四七号別紙五  作者: 棗田智紘
第一部 気色
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15/15

別紙 用語集

本作には、律令の陰陽寮に由来する耳慣れない語が出てきます。物語のなかで自然に分かるようにしてありますが、読みの助けに、主な語をまとめました。物語の謎に触れる説明は避けています。読み終えてから開いても構いません。


■ 組織


 暦象事務局(れきしょうじむきょく)……主人公たちの勤め先。表向きは「暦を調べる役所」。職員はふだん「寮」と呼ぶ。

 (りょう)……暦象事務局の、職員内での呼び名。

 本寮(ほんりょう)……統括と書庫のある本部。

 北寮/第一観測所……北海道を受け持つ観測所。物語の主な舞台。

 門司(もじ)/第二観測所……主人公の前任地。西日本を受け持つ。


■ 職と役


 伺見(うかみ)……気色を視て、初見を記す者。原因や所見は書かず、処置も決めない。主人公の職。

 陰陽師(おんみょうじ)……鎮め・封じを行う術者。

 陰陽属(おんようのさかん)……記録に封をする役。

 陰陽允(おんようのじょう)……現場の指揮、案件ごとの責任者。

 陰陽助(おんようのすけ)……観測所長など。決める役。

 破落戸(ごろつき)/実務二課……荒事――断ち――を担う。寮の外から招かれる。

 守辰丁(しゅしんちょう)……二十四時間三交代の当直。

 透波(すっぱ)……事象のさらに外を観測し、いち早く察知する役。聴断では八方(八つの方位)に立つ。面をつけ、顔を見せない。

 天文博士(てんもんはかせ)……観測した記録を解析する。

 暦博士(れきはかせ)……それが常か、変かを判定する。


■ 処置(四つの手立て)


 (しずめ)……相手の言い分を聞いて、直す。

 (ふう)……封じる。

 (たち)……断つ。

 ()……手立てがないとき、ただ記録する。


■ 層(案件の区分)


 一層(いっそう)……相手に言い分がある。聞けば済む。

 二層(にそう)……言い分は通じないが、確かに在る。封じるか、断てる。

 三層(さんそう)……そのどれも効かない。手立てがなく、ただ記す。


■ 文書


 密奏(みっそう)……観測を記した正式の記録。

 初見(しょけん)……最初にその気色を視て、記録すること。

 気色(きしょく)……土地や人に立つ、ふつうでない気配。その場の状態。

 由来(ゆらい)……原因の欄。分からないものは書かない(=空欄)。

 差遣(さけん)損耗(そんもう)……派遣した人員/失われた人員。

 別紙(べっし)……添付の資料。本文には綴じ込まれない。

 (うかがい)……上へ判断を仰ぐための上申。

 指令(しれい)……伺への回答。

 台帳(だいちょう)……書架ごとの、累積の目録。

 架蔵(かぞう)……どの層の、どの架に納めるか。


■ 所作・儀式


 蔵面(ぞうめん)……面。直には視ず、面越しに視るために着ける。

 反閇(へんばい)禹歩(うほ)……鎮めのときに踏む、片足を引きずる歩法。

 聴断(ちょうだん)……二層と三層を分ける、正式の判定の儀式。

 護摩壇(ごまだん)……聴断で火を焚く壇。

 九字(くじ)……聴断で切る印。


■ 書庫


 書庫(しょこ)……本寮の地下。放射状に八つの書架が延びる。

 (そう)……上ほど古く、下ほど新しい。満ちるごとに、一階下を掘る。

 八架(はっか)……乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌。事案の起きた方位で、納める架が決まる。

 三ノ七(さんのしち)……三列目の七番目、という配架の位置。


■ その他


 障り(さわり)……術や、強い気色に接した者が、身のうちに負うもの。悪化するか、現状維持か。快方はない。


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