↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

七曜の花嫁 ~嫁いだ六人は、すべて幸せであつた~

最終エピソード掲載日:2026/08/23
六人ぶんの「幸せ」は、同じ筆で、あとから書かれている。

 大正の末。山が鳴りはじめると、七久里村は御名山へ花嫁を送る。

 十七のあさに渡されたのは、『七久里花嫁帳』と呼ばれる冊子だった。
 輿入れまでの七日間、一日にひとりぶん。これまでに嫁いだ六人の花嫁の記録を読むことを、花嫁だけが許される。

 月の花嫁は、ひとことも問わなかった。だからよき花嫁だった。
 火の花嫁は、神を怒らせ、社ごと焼かれた。
 水の花嫁は、村を救うため、みづから沈んだ。

 ――どの頁の末尾にも、同じ一行が書き足されている。「幸せであつた」と。
 太い筆で。濃い墨で。五人ぶん、まとめて。

 墓石だけが消えた初代。焼かれた墓石。真新しい堰。温かい御神木。
 余白に残された、消し忘れの走り書き。

 そして白紙のまま綴じられた六人目の頁は、三年前に山から帰り、それきり口をきかない姉のものだった。

 七日目。あさは自分の頁に、たった一行を書く。

「わたくしは、なをききます」

 大正末を舞台にした和風あやかし。全十四話、完結まで書き上げ済み。
第一章 記録
第二章 真実
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。