百年目の修正申告 ~大正の陸軍二等主計だった私は、大戦を回避した並行現代で税理士になる~
最終エピソード掲載日:2026/09/03
税務調査の連絡が来た日、税理士・榊原真守のもとへ、百年前の自分の罪が宅配便で届いた。
大正十四年、真守の前世は陸軍二等主計・榊原征一。納品されていない羅紗二百四十反を「水害で滅失」とする虚偽の帳簿に、上官の命令で印を押した男である。悔いて帳簿を守ろうと火の中へ入り、何一つ救えずに死んだ。次に目を開けた先は、大戦を回避したもう一つの現代日本。教科書の中の榊原征一は、英雄になっていた。
今回の顧問先は、水害で証憑を失った創業百年の町工場。四千百万円を超える外注費が疑われ、全面否認されれば融資も四十六人の雇用も危うい。三十七社に照会し、四百件の取引を一件ずつ繋ぎ直す。三百九十九件は本物だった。だが、水害を免れた唯一の請求書だけが、偽物だった。
百年前の嘘は「水害で失われた」ことにされ、百年後の嘘は「水害を免れた」ことにされていた。
一枚の嘘を隠せば、三百九十九枚の真実まで疑われる。
前世で虚偽に印を押した男が、二度目の人生で事実にのみ署名する、転生税務ヒューマンドラマ。
大正十四年、真守の前世は陸軍二等主計・榊原征一。納品されていない羅紗二百四十反を「水害で滅失」とする虚偽の帳簿に、上官の命令で印を押した男である。悔いて帳簿を守ろうと火の中へ入り、何一つ救えずに死んだ。次に目を開けた先は、大戦を回避したもう一つの現代日本。教科書の中の榊原征一は、英雄になっていた。
今回の顧問先は、水害で証憑を失った創業百年の町工場。四千百万円を超える外注費が疑われ、全面否認されれば融資も四十六人の雇用も危うい。三十七社に照会し、四百件の取引を一件ずつ繋ぎ直す。三百九十九件は本物だった。だが、水害を免れた唯一の請求書だけが、偽物だった。
百年前の嘘は「水害で失われた」ことにされ、百年後の嘘は「水害を免れた」ことにされていた。
一枚の嘘を隠せば、三百九十九枚の真実まで疑われる。
前世で虚偽に印を押した男が、二度目の人生で事実にのみ署名する、転生税務ヒューマンドラマ。
第一話 召集令状ではない
2026/09/03 19:34
第二話 紙は燃える(大正編・一)
2026/09/03 19:43
第三話 水はそのためにある(大正編・二)
2026/09/03 19:52
第四話 九十九枚(大正編・三)
2026/09/03 19:55
第五話 赤い蝶(大正編・四)
2026/09/03 20:29
幕間 窓の外側(伊吹惣一)
2026/09/03 20:31
第六話 大戦を回避した日本
2026/09/03 20:32
第七話 三点照合
2026/09/03 20:34
第八話 表へ出せない勘定
2026/09/03 20:44
第九話 今度は、事実に署名する
2026/09/03 20:46
最終話 死傷者、零
2026/09/03 20:49
外伝 黒岩の勘定 ―― 三等主計正の後日談(黒岩貞雄)
2026/09/03 20:53
外伝二 零時の勘定 ―― 鵜飼曹長の昭和(鵜飼武雄)
2026/09/03 20:55
附 余白(榊原真守)
2026/09/03 20:59