表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

盲目の蛇女は始まらない

作者:甘味処 雨
最新エピソード掲載日:2026/06/08
旅人は、名も知らぬ街にたどり着いた。

石畳は古び、家々の窓はどこかよそよそしく閉ざされている。人の気配はあるのに、視線だけがひどく遠い。まるで、この街そのものが何かを隠しているようだった。

宿に入ると、主人は彼の顔を見るなり、声を潜めて言った。

「森には近づくな」

それだけだった。

理由を尋ねても、返ってくるのは曖昧な沈黙ばかりだ。ただ一つ、酒場で耳にした噂だけが、妙に鮮明に残った。

——森の奥には、“蛇の少女”がいる。

それは呪いだとも、守り神だとも言われていた。姿を見た者は戻らない、とも。

旅人は笑った。

噂など、どの街にもある。だが、あの街の沈黙は、ただの迷信では説明がつかなかった。

夜が明ける前、彼は街を出た。

霧の立ちこめる森の奥へと、足を踏み入れる。

何かに導かれるように。

そしてそれが、引き返せない選択だということを、まだ知らなかった。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ