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愚者の告白
広場に出る。
街の中心だ。
円形に開けた石の空間。
中央には噴水があり、像の足元から水が絶えず湧き出ている。
きらめく水音が、周囲のざわめきに溶けていた。
行き交う人々の声。
笑い声。呼び声。石を打つ乾いた音。
絶え間なく流れるその中で——
ひとつ、異質な動きがあった。
噴水の前。
奇天烈な恰好の男が、ひとりで踊っている。
継ぎ接ぎの布。ちぐはぐな色。
鈴を鳴らしながら、くるくると回り、跳ね、誇張された仕草で何かを演じている。
ただ——
誰も立ち止まらない。
一瞥はする。
だが、それだけだ。
すぐに視線を外し、そのまま通り過ぎていく。
まるで、見慣れた風景の一部のように。
けれど。
隣にいる少女だけは違った。
手をつないだ先。
その体は、わずかに前へ引かれている。
布で隠された目が、まっすぐあの男へ向けられている気がした。
好奇心で満ちている。
知らないものに、まっすぐ触れようとする目だ。
僕はその手を引く。
人の流れを抜けて、噴水の方へ。
彼女を、あの男の前へ連れていく。
その間に、ふと思う。
僕は、旅の先々で——
ああいう連中を、何度も見てきた。
芸で路銀を稼ぎ、日々を繋ぐ者たち。
道化。
またの名は——愚者。
笑われることを役目にした者たち。
嘲られる者たち。
そして——
つまりは。
僕の、生き方そのものだ。




