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怪異は駆除できないので、所管を決めます。 ―省庁怪異対策室の未決裁事件簿―

作者:宿院
最新エピソード掲載日:2026/10/22
国家公務員二年目の斎藤葵が左遷された先は、組織図にない「省庁怪異対策室」。地下十三階の、室長不在の部署だった。

そこの仕事は、怪異を駆除することではない。聞いて、約束して、終わらせること。申立人は、名前を忘れられた水神、休めない祭りの神、地図から消えた町。役所が「所管外」と突き放してきた声の主たちだ。

一拍、二拍、三拍。葵が手を打つと世界から音が消え、全員の本音が漏れ始める。契約の行間を読む山本礼世、境界を決裁する春夏冬成海、手足の生えた公印ハンコさんと共に、葵は受理官として一件ずつ答えを出していく。
だが、成海は職員ではなく「資産」だった。

記憶を削られ、死ぬたびに配属される人。その再配置を止めようとしたとき、三人は知る。怪異の所管を決められないのと同じ仕組みで、この国は人の名前と同意を帳簿から消してきたことを。

所管がないなら、決めればいい。様式がないなら、作ればいい。これは、声なき者たちの陳情を受理する三人の、未決裁事件簿。
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