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午前二時十三分の駐在所

作者:斑鳩あおい
最終エピソード掲載日:2026/10/08
山間にある小さな町、月影町。

人口わずか三千人ほどの静かな町で、駐在所に勤務する警察官・佐伯は、いつもと変わらない夜勤を過ごしていた。

しかし、ある夜――時計が午前二時十三分を指した瞬間、駐在所の前に一人の謎の男が現れる。

男は佐伯にこう尋ねた。

「……あの女の人は、まだいるんですか?」

佐伯の後ろには、誰もいない。

それなのに男には、そこに「女性警察官」が見えていた。

その翌日、佐伯は勤務日誌に自分が書いた覚えのない記録を発見する。

そこには、

《午前二時十三分 巡回中の警察官一名、失踪》

と書かれていた。

調べていくうちに佐伯は、三十年前にも同じ時刻に駐在所の警察官が失踪していたことを知る。

さらに、町の古い写真には、現在の佐伯自身の姿が写っていた。

まだ生まれてすらいないはずの佐伯が――。

やがて佐伯の前に現れる、鏡の中の女性警察官・森川美咲。

彼女は三十年前、この町から姿を消した警察官だった。

美咲の導きによって、佐伯は駐在所の地下に隠された過去と、町から意図的に忘れ去られた人々の存在を知る。

そして明らかになる、月影町最大の秘密。

午前二時十三分になると、この町では三十年前の出来事が繰り返される。

消えた警察官。

存在しないはずの町。

自分と同じ顔をした「もう一人の佐伯」。

そして、過去から戻ってくる謎の男。

佐伯は怪異の正体を追う中で、この町に起きている現象が単なる幽霊の仕業ではなく、町の人々が忘れようとした「記憶」そのものだと知る。

忘れられた者たちを救うため、佐伯は一人、午前二時十三分の町へ向かう。

果たして佐伯は、三十年前から続く怪異を終わらせることができるのか。

そして――

すべてが終わったと思った翌朝。

駐在所の電話から、佐伯自身の声が聞こえる。

「今夜、二時十三分に駐在所を空けないでください」

その言葉の直後、電話の向こうから告げられたのは、

「今度は――町のほうが、消えます」

静かな町の夜に隠された恐ろしい秘密。

これは、町を守る一人の駐在さんと、忘れられた者たちの物語。
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