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第四章 鏡の中の制服
その夜。
佐伯は駐在所の鏡を見た。
自分が映っている。
当たり前だ。
だが
自分の後ろに、女がいた。
白い顔。
濡れた髪。
警察官の制服。
佐伯は振り返った。
誰もいない。
もう一度鏡を見る。
女はいる。
しかも、こちらを見ている。
「……誰だ」
鏡の女が口を動かした。
声は聞こえない。
だが、唇の動きだけは分かった。
さむい。
佐伯は鏡から離れた。
その瞬間。
駐在所の電話が鳴った。
午前二時十三分。
「……はい」
『佐伯さん』
女性の声だった。
『その人、見えていますか?』
「……誰ですか?」
『私です』
電話が切れた。
鏡を見る。
女が泣いていた。




