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めぐる季節は麦の道

めぐる季節は麦の道

作者:まーサンタ
最終エピソード掲載日:2026/08/21
小学二年生の伊達麦人(むぎと)は、週末になると、車で一時間ほど離れた団地に暮らす祖母・伊達恵子のもとを訪れる。

七十二歳とは思えないほど元気で、茶髪の髪は朝になるとまるでメデューサのよう。近所の誰からも親しまれる恵子は、麦人を「むーさん」と呼び、時には厳しく、時には太陽のような笑顔で包み込む。

麦人はそんな祖母を「恵子さん」と呼ぶ。少し理屈っぽく、調子に乗りやすい性格だが、人を思いやる優しい心を持つ少年だ。

恵子には、昔から不思議な力があった。

風の匂いで雨を知り、花の咲き方で誰かの訪れを感じ、人の表情を見れば、その胸の奥にある寂しさまでそっと読み取ってしまう。

けれど本人は、それを特別な力だとは思っていない。

「風が教えてくれたんよ。」

そう笑って空を見上げるだけだった。

春には桜の花びらを追いかけ、夏には虫の声に耳を澄まし、秋には黄金色の田んぼを歩き、冬には湯気の立つ団地の食卓を囲む。

四季がめぐるたびに、二人はささやかな出来事や小さな奇跡に出会い、人とのつながりや命の温かさ、そして「本当に大切なもの」を少しずつ見つけていく。

祖母から孫へ受け継がれるのは、お金でも物でもない。

人を思う心、自然を敬う気持ち、笑って生きる強さ。

やがて麦人は気づく。

自分が歩く人生の道には、いつも恵子さんの優しさが風のように寄り添っていたことを――。

四季の彩りと団地の日常を舞台に描く、笑って、泣いて、心がぽっと温かくなる祖母と孫の物語。

『めぐる季節は麦の道』

これは、人生という長い道を歩くすべての人へ贈る、優しさの物語。
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