区画
最終エピソード掲載日:2026/10/02
霧生台。一九七〇年代に別荘分譲地として売られた山。四百七十二区画。建った家は、九軒。
宮原清一は、父が買わされた二区画をその山に相続した。売れない。寄付もできない。納税通知書だけが、毎年届く。
二〇〇四年、麓の寺が山の一角に樹木葬の霊園を開いた。墓地を経営できるのは、市町村か、宗教法人か、公益法人だけだという。個人ではだめなのだそうだ。永続性と非営利性が確保されないから。
宮原は土地を貸し、雇われて現地の管理人になった。自分の山で、自分のものではない規約に従って、穴を掘る仕事である。
規約にはこう書いてある。個別に埋蔵するのは、使用許可の日から二十年。注記がある。——納骨した日からではありません。
管理料が途切れた区画には、官報に載せ、立札を一年立てる。一年のあいだに誰も来なければ、掘り返して、布の袋に移して、共同埋蔵室へ入れる。中でどれが誰の骨か、もう分けられない。
区画は、空く。空いた区画は、また売れる。
これは、誰も壊れない話。
――全13章・完結。グロテスクな描写はありません。
宮原清一は、父が買わされた二区画をその山に相続した。売れない。寄付もできない。納税通知書だけが、毎年届く。
二〇〇四年、麓の寺が山の一角に樹木葬の霊園を開いた。墓地を経営できるのは、市町村か、宗教法人か、公益法人だけだという。個人ではだめなのだそうだ。永続性と非営利性が確保されないから。
宮原は土地を貸し、雇われて現地の管理人になった。自分の山で、自分のものではない規約に従って、穴を掘る仕事である。
規約にはこう書いてある。個別に埋蔵するのは、使用許可の日から二十年。注記がある。——納骨した日からではありません。
管理料が途切れた区画には、官報に載せ、立札を一年立てる。一年のあいだに誰も来なければ、掘り返して、布の袋に移して、共同埋蔵室へ入れる。中でどれが誰の骨か、もう分けられない。
区画は、空く。空いた区画は、また売れる。
これは、誰も壊れない話。
――全13章・完結。グロテスクな描写はありません。
第一章 更地
2026/09/26 09:20
第二章 許可
2026/09/26 19:20
第三章 分譲
2026/09/27 09:20
第四章 二十年
2026/09/27 19:20
第五章 妻のこと
2026/09/28 09:20
第六章 あと二年
2026/09/28 19:20
第七章 立札
2026/09/29 09:20
第八章 買い取ります
2026/09/29 19:20
第九章 掘る
2026/09/30 09:20
第十章 名前の欄
2026/09/30 19:20
第十一章 鍵
2026/10/01 09:20
第十二章 あて所に尋ねあたりません
2026/10/01 19:20
第十三章 区画
2026/10/02 09:20