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処刑された悪役令嬢、世界最難関ダンジョンの最下層を領地にしました ~魔物に有給、冒険者には宿と温泉。地上へ戻る気はありませんのに世界一人気の迷宮です~

作者:てへろっぱ
最新エピソード掲載日:2026/08/29
公爵令嬢リゼットは、聖女暗殺未遂の罪を着せられた。

信じていた婚約者である第一王子にも見捨てられ、弁明すら許されないまま処刑される。

――はずだった。

次に彼女が目を覚ましたのは、歴代最高の冒険者たちでさえ到達できなかった《奈落の大迷宮》最下層。

地上へ戻る道はない。

周囲にいるのは、竜、悪魔、死霊、巨大魔獣――人類が災厄と呼ぶ存在ばかり。

ところがリゼットが最初に目にしたのは、人間を襲う恐ろしい魔物ではなかった。

三百年間、一日も休まず侵入者を迎撃して疲れ果てた魔物たちだった。

「……あなた方、有給休暇はございますの?」

「ユウキュウ?」

「ございませんのね」

こうして元悪役令嬢による、最下層改革が始まった。

魔物には休日と給料を。

働く者には食堂と風呂を。

怪我をした冒険者には治療院を。

帰還できないなら宿屋を。

ついでに温泉を掘り、食堂を開き、安全な休憩階層まで整備した結果――。

「攻略より、ここに泊まりたい」

なぜか冒険者が帰らなくなった。

やがて噂を聞きつけた商人、職人、冒険者が押し寄せ、誰も攻略できなかった世界最難関ダンジョンは、世界で最も入りたい迷宮へ変貌していく。

一方、リゼットを処刑した王国はようやく気づく。

彼女が王国の財政、物流、領地経営を陰で支えていたことに。

さらに迷宮から産出される希少資源まで世界中が欲しがり始め――。

「戻ってきてくれ」

「お断りいたしますわ。わたくし、こちらの領主ですので」

これは処刑された悪役令嬢が、地上から捨てられた者たちを拾いながら、世界最難関ダンジョンを世界一幸せな領地にしてしまう物語。

本人だけは、地上へ戻る気など欠片もない。
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