幼馴染が100周目過ぎる。
最新エピソード掲載日:2026/10/30
ある晴れた春の朝。セレスティアは目を開けた。目に映るのは見慣れた天井。
…十七歳。天命鑑定の日。
セレスティアは今日、勇者に選ばれる。
そして何年か後、世界は滅びる。
全部知っている。
魔王を倒した。国を救った。神を殺した。仲間を変え、道を変え、助ける順番を変えて百二回。
すべて駄目だった。
だから今回は誰も連れていかない。
期待せず、頼らず、好きにもならない。
失うくらいなら最初から一人で。
そう決めて支度を始めた時、ふと一人の顔が浮かんだ。
朝弱くて、いつも寝ぐせ頭で、今日みたいな大事な日にも絶対に寝坊する。
一昨日は腹が立って芋を投げつけた。起こしに行くのは少し気まずい。
起こしに行く?
だれ?
生まれて十七年間。ずっと一緒にいた記憶がある。
川で魚を捕った。森で迷った。
家の窓を割って、二人で逃げた。
…なのに。
百二回分の記憶のどこを探しても見当たらない。
セレスティアは家を出て広場に向かう途中、道端から小さな石を拾った。
気づけば、見たことのない、よく行く家の前に立っていた。
二階。左の窓。
石を投げる。
・・・返事はない。
もう一つ。
「……馬鹿」
やがて村の広場にひどい寝ぐせの少年が走ってくる。
見慣れた見覚えのない顔。
百二回、一度も見たことのない少年。
初めてのいつものような言葉を交わし、少年は天命鑑定を受ける。
剣術適性、中。
魔術適性、低。
神聖加護、なし。
そして。
「天命適性……記載なし?」
そんな人間を、セレスティアは知らない。
百二回。一人も。
少年が戻ってくる。
「どうした?」
「……何でもない」
「顔やばいぞ」
「何でもない」
「腹痛い?」
「違う」
違う。
この少年を知っている。
十七年間、一緒にいた。
それなのに。
百二回の世界には、一度もいなかった。
セレスティアは震える指を握りしめる。
「あなた」
少年が首を傾げた。
「本当にレオン?」
…十七歳。天命鑑定の日。
セレスティアは今日、勇者に選ばれる。
そして何年か後、世界は滅びる。
全部知っている。
魔王を倒した。国を救った。神を殺した。仲間を変え、道を変え、助ける順番を変えて百二回。
すべて駄目だった。
だから今回は誰も連れていかない。
期待せず、頼らず、好きにもならない。
失うくらいなら最初から一人で。
そう決めて支度を始めた時、ふと一人の顔が浮かんだ。
朝弱くて、いつも寝ぐせ頭で、今日みたいな大事な日にも絶対に寝坊する。
一昨日は腹が立って芋を投げつけた。起こしに行くのは少し気まずい。
起こしに行く?
だれ?
生まれて十七年間。ずっと一緒にいた記憶がある。
川で魚を捕った。森で迷った。
家の窓を割って、二人で逃げた。
…なのに。
百二回分の記憶のどこを探しても見当たらない。
セレスティアは家を出て広場に向かう途中、道端から小さな石を拾った。
気づけば、見たことのない、よく行く家の前に立っていた。
二階。左の窓。
石を投げる。
・・・返事はない。
もう一つ。
「……馬鹿」
やがて村の広場にひどい寝ぐせの少年が走ってくる。
見慣れた見覚えのない顔。
百二回、一度も見たことのない少年。
初めてのいつものような言葉を交わし、少年は天命鑑定を受ける。
剣術適性、中。
魔術適性、低。
神聖加護、なし。
そして。
「天命適性……記載なし?」
そんな人間を、セレスティアは知らない。
百二回。一人も。
少年が戻ってくる。
「どうした?」
「……何でもない」
「顔やばいぞ」
「何でもない」
「腹痛い?」
「違う」
違う。
この少年を知っている。
十七年間、一緒にいた。
それなのに。
百二回の世界には、一度もいなかった。
セレスティアは震える指を握りしめる。
「あなた」
少年が首を傾げた。
「本当にレオン?」
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神も勇者に問いたい
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2026/10/30 20:00