表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

戻すおつもりで手放したのですか?品物ではないのですけれど

最終エピソード掲載日:2026/07/27
離縁を告げたのは、夫ではありませんでした。

義母が書面を読み上げるあいだ、隣の部屋で椅子の鳴る音がしました。
扉の下に、影がありました。
それきり、その人は入ってきませんでした。

理由は、誰からも説明されませんでした。

いまわたくしは、北の港町で乾物と香辛料の目利きをしております。
袋の匂いと重さで、湿った荷を選り分ける仕事です。

港の人は、わたくしをブラントの奥様と呼びます。
違います、と言いそびれたまま、二年が過ぎました。

ひとつだけ、屋敷とつながったままのものがあります。
義母の膝の薬に使う草を、いまも春と秋に乾かしております。
頼まれてはおりません。

給金から代金を引いてもらって、船に乗せております。

そこへ、王都の紋章をつけた馬車が迎えに来ました。

夫は言います。
親族を黙らせるまでの二年だった。
待たせてすまなかった、と。

けれど、待っていろとは、一度も言われておりません。

この港には、二十歳年上の商人がおります。
わたくしの手を止めさせず、何も尋ねない人です。
決めるのはあなたです、としか言いません。

今年の薬草は、もう乾き上がりました。
札を書けば、あとは船に乗せるだけです。

その札に何と書くのか、わたくしはまだ決めておりません。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ