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八丈島の復讐と苦悩 ~ゲーム知識は役に立たない~

作者:伝説の男前
最新エピソード掲載日:2026/07/25
はじめに

人生はゲームではない。

そんな当たり前のことを、本当に理解するまでには、ずいぶん時間がかかった。

ゲームにはルールがある。

敵を倒せば経験値が入り、レベルが上がる。

町の人は何度話しかけても同じことしか言わない。

間違えたらロードすればいい。

大事な場面の前にはセーブポイントがある。

そして最後には、必ずラスボスが待っている。

だから、ゲームは優しい。

どんなに難しくても、必ず攻略法が存在するからだ。

だが、現実は違う。

人は同じ言葉を二度と言わない。

昨日まで味方だった人が、今日には敵になることもある。

何気ない一言が誰かを傷つけ、取り返しのつかない結果を生む。

セーブもロードも存在しない。

「正しい選択肢」など、画面のどこにも表示されない。

それでも人は、生きていかなければならない。

この物語の主人公、山田春人は、ゲームを誰よりも愛する青年である。

RPG、推理ゲーム、恋愛ゲーム、ホラーゲーム、オープンワールドゲーム。

彼は何千時間もゲームを遊び、その知識と経験を自分の武器だと信じてきた。

そんな彼が、父の突然の死をきっかけに、生まれ故郷である東京都・八丈島へ帰ることになる。

島には、美しい海がある。

雄大な山がある。

温かい人々がいる。

そして、小さな島だからこそ誰もが知っている「秘密」がある。

父は本当に心筋梗塞で亡くなったのか。

なぜ母は、父の死から間もなく義弟との再婚を決めたのか。

夜ごと現れる「父の幽霊」は、幻覚なのか、それとも真実を伝えようとしているのか。

春人はゲームで培った知識を頼りに、事件の真相へ迫ろうとする。

「怪しい人物は重要NPCだ。」

「証拠は必ず隠し部屋にある。」

「劇で事件を再現すれば犯人は動揺する。」

「好感度を上げれば協力してくれる。」

だが、その考えはことごとく外れていく。

現実の人間は、ゲームのNPCではない。

誰も決められたセリフを話さない。

誰も決められた役割を演じない。

誰もが嘘をつき、迷い、傷つき、そして誰かを守るために沈黙する。

島で春人が向き合うのは、殺人事件だけではない。

家族との断絶。

幼なじみとのすれ違い。

閉鎖的な共同体の息苦しさ。

そして、自分自身の未熟さである。
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