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マリー・アントワネットの首飾り、237年目の答え合わせ

作者:東曌
最新エピソード掲載日:2026/10/16
1901年、フランス・ヴェルサイユ。

イギリス人女性シャーロット・モーバリーとエレノア・ジョーダンは、プチ・トリアノンの庭園で、説明のつかない奇妙な体験をする。

そこに現れたのは、二十世紀の風景には似つかわしくない人々。そして、遠い過去から抜け出してきたかのような、一人の女性の姿だった。

二人は何を見たのか。

過去の幻影か、記憶の錯覚か。それとも、歴史の奥底に残された何かだったのか。

やがて二人の体験は、一冊の本に記録される。

そして、その謎は、フランス革命に散った一人の王妃へとつながっていく。

マリー・アントワネット。

彼女は確かに、華やかな衣装や装飾品に多くの金を費やした。けれども、フランス王国の財政危機は、王妃の浪費だけで説明できるものではなかった。

戦争による負債、不公平な税制、変えることのできない宮廷の慣習。

複雑な問題が積み重なるなか、王妃の名を傷つけたのが、世にいう「首飾り事件」だった。

高価なダイヤモンドの首飾り。

王妃の名を利用した詐欺。

そして、本人が注文していない宝石によって、さらに深く傷つけられていく王妃の評判。

なぜ、彼女は買ってもいない首飾りの責任を負わされたのか。

母マリア・テレジアの手紙に残された心配。王宮の華やかさの裏側。事件をめぐる証言と記録。そして、後世の人々が作り上げた王妃の物語。

二百年以上の時を越え、歴史の断片が少しずつつながっていく。

欠点を認めることと、すべての罪を負わせることは違う。

プチ・トリアノンの霧の向こうに、いまも残る問い。

マリー・アントワネットは、本当に何をしたのか。

そして、彼女が犯してもいない罪を、誰がその首に掛けたのだろうか。

これは、一つの首飾りをめぐる謎から、歴史に刻まれた女性たちの声を探し直す物語である。
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