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異世界で芋を植えたら、葉しか茂らなかった。~元・種芋屋の俺が三個の芋から飢えない北辺を作るまで~

作者:他力本願寺
最新エピソード掲載日:2026/08/10
異世界の寒村に転生したユアンには、派手な魔法も規格外の能力もなかった。

あるのは前世で七年間、種苗会社の「種芋屋」として働いた経験だけ。

麦が遅霜で全滅した年、ユアンは南方から三個の芋を手に入れる。

これなら、この村を飢えから救えるかもしれない。

そう信じて畑に植えた。

葉は猛烈に茂った。

――だが、掘っても芋は一個もなかった。

なぜ南では実る芋が、北では実らないのか。

三個の芋から始まった試行錯誤は、やがて四千三百株の選抜、毒による事故、種芋の盗難、原因不明の病気、商人との対立へと広がっていく。

そして八年後。

麦が再び全滅した村には、二百一人の住民と、七十三日後まで食料をつなぐしかない畑が残された。

農業は、奇跡では人を救えない。

失敗を記録し、種を残し、殖やし、配り、次の世代へ渡して初めて、人を救える。

これは三個の芋から始まり、四十年後の「餓死者ゼロ」へ至る、北辺の農業改革の物語。

そしてその始まりの日、ユアンの帳簿に記された収穫量は――ゼロだった。
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