表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私が見出した人材を全員捨てた婚約者が、空の執務室で一人きりになるまで

最終エピソード掲載日:2026/06/17
人の才能を見抜く目を持ちながら、その目を「節穴」と呼ばれ続けた。

リーネの目は、人の中に眠る才の輪郭を視る。
村の農夫に数の才を、商家の娘に交渉の才を見出し、三年かけて領地を支える家臣団を育て上げた。

けれど婚約者にとって、それは恥でしかなかった。
「使用人に好かれるだけの婚約者など要らない」。
彼はリーネの留守中に、家臣を一人残らず解雇した。

床に散らばった人材記録を、一枚ずつ拾い集める。
怒鳴ることも泣き崩れることもせず、一晩かけて完璧な引き継ぎ帳簿を書き上げた。
そして静かに、屋敷を去った。

捨てられた人材たちは、やがて別の場所で光を放ち始める。
その光に、国の中枢を預かる冷徹な宰相が気づいた。
「この分析を書いた人物を連れてこい」と。

一方、人材を失った領地では帳簿が合わなくなっていく。
報告は届かず、商会は離れ、味方は一人ずつ減っていく。
すべてが、自らの判断の結果だとも知らずに。

「節穴」と呼ばれた目が見出した光は、今どこで灯っているのか。
十二の椅子が並んだままの空の部屋は、まだそれを知らない。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ