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再起動、一九九〇

作者:RSakamoto
最終エピソード掲載日:2026/09/19
二〇二六年、深夜三時。証券システムのエンジニア・村瀬恒一は、机の上で意識を失い、目を覚ますと一九九〇年の八王子の安アパートにいた。十九歳の体に、五十七歳までの記憶を抱えたまま。

彼は未来を知っている。暴落する株、潰れる銀行、震災とテロの日付。だが恒一は、その知識で財を成すことを自らに禁じる。父に「煙草をやめろ」と言い、母に「検査を受けろ」と言い、テロの朝に一人だけタクシーを呼ぶ——彼にできるのは、それだけだ。大きな歴史は、何も変えられない。

やがて出会う照合担当の千夏、引き受けさせられた社長の三上、信じないまま手帳を書き続ける刑事の柏木。前の人生では誰にも見せなかった「辻褄」を、恒一は初めて、誰かと分け合っていく。そして自分でも気づかぬうちに、この世界は、記憶とわずかにずれ始めている——。

転生の万能感を退け、「知っていて、あえて何もしない」ことの重さと自由を描く、異色の再生譚。
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