泥まみれの妻が恥でしたら、どうぞ薔薇だけで冬をお越しください
最終エピソード掲載日:2026/06/16
三年かけた麦畑が、愛人の薔薇園に変わった。
リーネは伯爵家の婚約者。
毎朝、泥にまみれて種の改良研究を続けていた。
領地の三割の税収を支える、見えない仕事だった。
婚約者はその手を恥だと笑う。
愛人が望んだ薔薇を植えるため、研究農地が潰された。
三年分の畑が、一日で消えた。
持ち出したのは、泥のノートと一握りの種だけ。
宝石も衣装も、すべて置いていった。
その一握りが何を意味するか、婚約者は知らない。
改良種を育てる方法は、あの記録にしかない。
原種は、あの小さな麻袋にしかない。
王宮への報告義務を、彼は聞き流していた。
北の痩せた土地に、リーネの論文を読んだ男がいる。
泥にまみれる手を、恥ではなく尊いと呼ぶ人がいる。
薔薇は美しい。
けれど、薔薇だけで冬は越せない。
あの種の重さを、笑った人はまだ知らない。
リーネは伯爵家の婚約者。
毎朝、泥にまみれて種の改良研究を続けていた。
領地の三割の税収を支える、見えない仕事だった。
婚約者はその手を恥だと笑う。
愛人が望んだ薔薇を植えるため、研究農地が潰された。
三年分の畑が、一日で消えた。
持ち出したのは、泥のノートと一握りの種だけ。
宝石も衣装も、すべて置いていった。
その一握りが何を意味するか、婚約者は知らない。
改良種を育てる方法は、あの記録にしかない。
原種は、あの小さな麻袋にしかない。
王宮への報告義務を、彼は聞き流していた。
北の痩せた土地に、リーネの論文を読んだ男がいる。
泥にまみれる手を、恥ではなく尊いと呼ぶ人がいる。
薔薇は美しい。
けれど、薔薇だけで冬は越せない。
あの種の重さを、笑った人はまだ知らない。
第1話 泥にまみれる婚約者
2026/06/16 12:19
第2話 薔薇のほうが相応しい
2026/06/16 12:19
第3話 持ち出すもの、置いていくもの
2026/06/16 12:19
第4話 代わりはいくらでもいる
2026/06/16 12:19
第5話 北の土地、最初の畝
2026/06/16 12:19
第6話 泥の手が育てるもの
2026/06/16 12:20
第7話 最初の冬の気配
2026/06/16 12:20
第8話 金色の穂波
2026/06/16 12:20
第9話 薔薇園の伯爵
2026/06/16 12:20
第10話 報告書は嘘をつかない
2026/06/16 12:20
第11話 麦と薔薇の監査
2026/06/16 12:20
第12話 この土地で、種を蒔く
2026/06/16 12:20