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断罪される令嬢は黙っている

最終エピソード掲載日:2026/07/29
レティシアには、終わる日が分かっている。

冬至の夜会で断罪され、修道院へ送られる。前世で読んだ物語が、そう決めていた。

だから彼女は、抵抗しない。

手帳に八十本の線を引き、朝ごとに一本ずつ潰していく。

置いていくものが減れば、置いていかれる側も減る。そう計算して、本を寄贈し、装身具を箱に戻した。

残り七十八日。数えられるうちは、まだ立っていられる。

けれど、この物語には悪い人が一人もいない。

冷徹だと噂される王太子は、思いのほか話を覚えている人だった。

自分を押しのけるはずの令嬢は、噂を消して歩いていた。

寡黙な父は、理由を訊かないまま、荷を運ばせると言った。

優しくされるたび、失うものが一つ増える。レティシアは淑女の笑みで、それを数に加えていく。

誰も彼女を責めない。誰も彼女を止めない。

そうして冬至が来る。

数え終わった線の先に、彼女は何を用意していただろうか。
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