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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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煙屋のジャン 〜異世界の塹壕で、僕は今日もタバコを配る〜

作者:mickmick893
最新エピソード掲載日:2026/11/03
「どうも〜。タバコ、要りませんか?」

砲弾が降る塹壕に、自転車で乗り込んでくる、胡散臭い男がいる。
銃は持たない。魔法も使えない。
配るのは、この世界にまだない、紙巻きの煙草だけ。

死にに行く兵士の、最後の一服を、少しだけ長くするために。

前の世界で自転車屋だった男は、店の裏で一服したら、異世界の最前線にいた。
へらへらと笑う顔の下に、誰にも言えない後悔を隠して、今日も煙屋は塹壕を回る。

不味いと文句を言いながら、もう一本とねだる若い兵士。
煙草を毒だと怒鳴りながら、自分はこっそり吸っている治癒師。
そして、兵士の命を帳簿の数字で数える、本営の貴族たち。

一服しても、何も救われない。
それでも、煙を吐けば、人はもう一歩だけ前へ進める。

これは、戦場で銃の代わりに煙草を配った、ひとりの煙屋の物語。

※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。
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