表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マジで俺を巻き込むな!!  作者: 電式|↵
!GRAVITON

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

245/246

第6話-24 代理救済プロトコル END - 代理救済プロトコル


 私達は、ナクル工業ギルドの会議室の一角に座っていました。

 夕暮れから、初飛行成功の祝宴をやるのだそうです。それで、工業ギルドのご厚意で、コウさん一人だけではなく、私達もその祝宴に招いてくださったのです。


 その代わり、祝宴まで会議室の椅子に座って、長い時間を待つことになりました。

 ガルさんも、ブロウルさんも、グレアさんも、クラリさんも。みんな、目を閉じて寝ていました。

 今日は、誰にとっても体力も気力も使う一日だったのです。

 ガルさん、ブロウルさんは、俯いて、腕を組んだまま。

 グレアさんは、机に突っ伏して寝ています。

 クラリさんは、ブロウルさんに寄りかかって、中途半端に口を開けたまま寝ていました。


 起きているのは、私とコウさんだけでした。

 コウさんは長机の上に寝そべってずっと天井を眺めて無心になっているようでした。


 徐々に黄昏れていく世界。エクソアの瞳も次第に閉じていきます。

 暗い視界の中、皆さんの静かな寝息と呼吸音だけがうっすらと聞こえます。


 わだち組、飛行艇組。

 再び縄で係留され、桟橋に浮かぶ飛行艇。

 誰一人として欠けることなく、今日の試験を生き延びたのです。


 離水試験から、コウさん、みんなを救えたことは、間違いありません。

 けれども、私にその実感はありませんでした。

 世界は、その結果をただ淡々と受け入れて時を刻み、物事は粛々と進んでいくのです。


 "エクソア。ありがとう"


 私と、返事をしないエクソアの間だけで、ささやかで短いお祝いをして、おしまいです。


 他の誰も、私の成功を祝ってくれません。

 何度も同じ時を繰り返した私の努力を、誰が気付けるでしょうか。


 依然として、私の身体を操るのはエクソアに奪われたままです。

 このままストンと、エクソアが眠りに落ちたのなら、神使様に再びお目にかかれるでしょうか。

 私がしてきたことに、神使様はなんと仰せになるでしょう。


 私が見た事故調査報告書には、正確な墜落原因は不明だと書いてありました。

 私も、コウさんが操縦桿が重かったのだと言うまで、それが墜落原因だとは予想できませんでした。

 ただ私は、操縦席にいるコウさんが一番よく知っているはずだと、それしか頼るものがなかった。


 どうしてなのでしょう。

 私が何度も、何度も世界を巡り巡って求めた未来を手に入れたのに、その実感が湧かないのは。

 私がコウさんを助けた、その因果が分からないからでしょうか。



 ――ふと、私の脳裏に原初の未来の記憶が駆け抜けます。

 弾劾裁判。神使様に見せられた、一番初めの未来の記憶。


 夕暮れの森の上を、攻撃を受けて片翼を失った飛行艇。制御を失って、森に滑り込むように墜落する未来。

 衝撃でバラバラになって、森に散乱した飛行艇。

 コウさんが熱傷を負って、ボロボロのクラリさんが割れた機体の後部から這い出してきて、必死に助けようとして、日没とともに、二人とも命を落とす未来です。

 あれは、いったい何だったのでしょう?


 …………。


 考えたくありませんでした。認めたくありませんでした。

 でも、事実として私は見せられた記憶があります。受け入れなきゃいけないことなのです。


 神使様が私に見せたあの光景は――きっと、飛行艇がちゃんと飛べるようになった未来に起こる惨劇なのです。

 そうでなければ、今日、浮かび上がるだけで精一杯だった飛行艇が、空から見知らぬ土地の森に墜落するなんて、起こりえないのです。順番が噛み合わないのです。


 私は、受け入れなければならないのです。

 誰も失わないように何度も、何度も、気が狂いそうになるほど繰り返した離水試験の一日。その先で起こる惨劇を、神使様は私に見せて伝えたのだと。


 ――この離水試験は、ほんの一通過点にすぎないのだと。


 それに、私が弾劾裁判で見せられたのは、森の一件だけでした。


 あなたがこれから見る世界は、いま、あなたが見た結末を辿るとは限りません。いつ、どこで、彼が死に絶える運命と遭遇するのか。五分後か、二日後か。半年後かもしれません――

 神使様の言葉を思い出します。


 今回の離水試験の悲劇のことなんて、神使様は教えてくれませんでした。

 飛行艇が水切り石事故を起こして、コウさんが死んでしまって、何の合図もなしに、いきなり時間を戻されたのが始まりです。


*


「それでは、飛行艇タノン号の初飛行を記念して、乾杯!!」


 工業ギルドの建物、中庭に仮設した祝宴の席で、工業ギルドの長であるザグールさんが、壇上で声を上げます。

 続く工業ギルドの職人の方々の威勢の良い乾杯の声。数百人はいるでしょうか。

 私、エクソアも、空の杯を控えめに掲げて場に合わせます。


 立食形式の祝宴。

 気になったものがどれでも食べていい、ということらしいですが、私の身体は、あまり食を求める気分でありませんでした。


「リン。お前さんは酒、飲めるのか?」


 祝杯の声を上げた直後、すぐ近くにいたガルさんが私に近づいてきて話しかけてきました。


「分からないです。飲んだことなくて」


 エクソアは答えます。

 事実、私はお酒を飲んだことはありません。

 今はなき故郷でも、私がお酒を飲むことは厳しく禁止されていました。万一私が酔って暴れようものなら、死人が出かねないから、と。

 エクソアは、この時間軸での私の記憶を引き継いでいるから、飲んだことはないと答えられるのです。


 そうか。

 ガルさんは短く言うと、麦酒でしょうか、私が持っていた空の杯に、水たまりのように薄く広がるだけの量の酒を注ぎました。


「まあ最初は、口元を湿らせる程度にしとけ。お前さんが呑めねえ身体だったら、後で地獄を見るからな」

「……ありがとうございます」


 ダメそうなら、そのへんの芝生にでも撒いて捨てちまえ。

 ガルさんは私にそう言って私の背中を二回叩いて、コウさんの元へ歩き去っていきました。


 エクソアは、ガルさんが注いだ麦酒を覗きこみます。黄色の液体に白い泡が少し。その液面に反射して映る姿は、紛れもなく私の身体、私の顔です。


「イッキ!! イッキ!! イッキ――ッエェェエエイ!!」


 ブロウルさんが、知らないギルドのおじさん達と肩を組みながら、ものすごく楽しそうに大声を上げる声が聞こえます。

 ブロウルさんは本当にすごい人だと思います。誰よりも先に、誰かのために先頭を切って行動して、周りの人を引っ張っていけるのは。


 そう。これで……これでよかったのです。

 じっとお酒を見つめるエクソアの視界を眺めながら思います。

 世界で一番長い今日という一日を、もう繰り返さなくてもよいのです。


 この世界に、川で死んでしまうコウさんはいません。

 崩壊したコックピットに押し潰されて死んでしまったコウさん、グレアさんも、クラリさんも、瓦礫の下敷きになったお母さんも、いません。


 エクソアは、ガルさんの忠告を無視して、杯のお酒を一気に流し込むように飲んでしまいました。といっても、量はほんの少しでしたけど。

が何を考えたのかは分かりませんでした。


 ふと気がつくと、コウさんが私を一点に見ながら、足早に私の元に近づいてきていました。


「コウさん」

「リン、すまない。五分だけ、時間をくれ」


 真剣な様子で私に言います。

 私が杯をテーブルに置くと、コウさんはその隣に彼の杯を置きます。

 そのまま彼は私の手首を掴んで、宴会場の人混みから外れたところへ引っ張っていきます。


 彼はひと気のない中庭の柱、火の灯った蝋燭の下まで私を連れて、そこでようやく彼は手を放しました。

 つんと冷たい夜空の空気が、近くの建物の壁を伝って降りてきて、私達の周りをゆっくり流れて、体温を奪っていきます。


「どうされました、か?」

「いや、マジでその、そんな大した話じゃない――」


 私がエクソアに頼むよりも先に、エクソアが彼に問いかけます。

 彼は私と向き合ったままそう答えます。彼の視線がずっと私を捕らえて放しません。彼の瞳の奥を覗けるのではないかと思えるほどに、まっすぐに。


「――ただちゃんと礼を言いたかった。いま礼を言わないと、しばらく言える機会がねぇ気がして」


 私と、コウさんの二人だけの空間。そう切り出すと同時に、彼の少し目が泳ぎます。


「さっきの試験……俺はあのまま飛ぶつもりだった。結局やめたんだけどな。操縦桿がめちゃくちゃ重くて、全身に力を入れてギリ操縦できるかもしれない感じだった」

「そう、ですか」

「そう。で、頑張れば行けると思った。みんな成功を期待して応援していたし、飛ぶしかない――正直、成功させることしか頭になかった」


 エクソアは、彼の話を静かに聞いていました。

 先の時間軸、コウさんの墓前でガルさんが語った見立ては、間違いではなかったのです。

 コウさんは、私から地面の芝生に視線を逃がして、言葉を詰まらせながら、少し早口気味に言葉を続けていきます。


「けど、操縦桿は死ぬほど重いし、だんだん『これ俺やれんのか? 下手したら墜落するんじゃね?』――不安と『成功への期待』で板挟みになった。操縦桿に全身の力を入れながら色々見えた。走馬灯みたいなやつ」


「色々励ましとか応援は沢山貰ったが、マジでリンだけだった。『失敗する勇気』なんて言ってくれたのは。そこで俺は初めて『ああ、自分で失敗を選びとる判断をしてもいいのか』って気付いた」


 あまり慣れていなさそうな、少し恥ずかしげな様子で彼は言います。


「よく考えたら、これから頑張ろうとしている奴に『失敗する勇気』なんて普通言わねぇもんな? だから、すげぇ考え抜いて言ってくれたと思って。実際それで助かったって思ってる節もあるし」


 そこで、彼の言葉が止まります。

 エクソアは、彼の姿をじっと見ながら、彼の話を聞いていました。彼と目が合うと、エクソアは彼の背後の建物に視線を逃します。


 "ちゃんと、ちゃんと聞いていますよと……伝えてください"


 私がそう伝えると、エクソアは黙ってまた、彼に視線を戻します。今度は少し困ったような眉を立てて、ん、と小さく頷いて、そのお願いを聞いてくれました。


 コウさんが、私にこんなことを言ってくれるなんて。

 私の行動は、なにひとつ間違っていませんでした。先の時間軸で、ガルさん、ブロウルさんと私の三人からの、未来からの手紙を、コウさんに届けることができていたのです。


「俺が逃げたことは間違いない。根性無しの俺は、操縦桿との戦いから降りた――勘違いしないでほしい。選んだのは俺の意思だ。リンが選ばせたわけじゃない」


 コウさんは言います。いいえ。あなたは知らないでしょう。

 ガルさんの言葉を信じて、エクソアの言葉を借りて、私が選ばせたのです。

 コウさんの意思で選ぶように、誘導することに、私はすべてを賭けたのです。


「しかしまぁその、あとあと一人で考えてみりゃ、それも結果的に悪くなかったのかもしれんと思って」


「つまり、逃げ道があったから、中途半端でも飛行艇は空を飛んだ――俺は実感ないけど、飛んだらしい――失敗の中で極上の結果を掴んで戻ってこられたと思ってる」


「しかも俺達は何も失っていない。そりゃ、予算も時間ももう少しいるし、これからの予定も考え直さにゃならんことがある。でも『失敗しても、またやり直せる』。全部、リンの言う通りだった」


 "そうでしょう!

 何度も何度も何度も、私はあなたが失敗して、死んでいく世界を見てきたのです。

 たくさんの涙、哀しみ、後悔、苦しみの果てに、ようやく見つけたみんなの言葉を、あなたに贈ったのです。

 そんなの、間違えるはずがないでしょう!"


 私が吐き出したかった言葉を、エクソアがすべて飲み込んで、無言に変えてしまいます。


 ……間違っていなくて、よかった。

 彼は、私がいくつもの時間軸を渡って、気の遠くなるような同じ時間を繰り返していたことなんか、知るはずがありません。


「結局のとこ、俺達にはみんな役割がある。俺は飛行艇で神都に行く、その計画を主導しないといけない。グレアは俺の世話が仕事だし、護衛組は言わずもがなだ」


「リンは、自分だけ明確な役割がなくて、それを窮屈に感じてるかもしれない。自分だけが当事者じゃない疎外感というか――いや、見当違いだったらマジですまん」


「裏を返せば、俺達はみな当事者で、リンだけがその枠外から俯瞰して物事を見れる。だからこそできる役割があって、今回のはその一つだったんだと思う」


 なんと答えれば良いのでしょう。

 これまで手伝いや奉仕をしても、それがさも当たり前かのように吸い込まれていって、感謝されることはないか、あるいはあっても簡単なひとことで終わるのが常でした。

 私は生まれてこのかた、ここまで手厚いお礼をしてくれたことがあったでしょうか。


 エクソアも何も言わず、ただ彼の言葉にずっと耳を傾け続けています。


「もっと自分に自信を持ってほしい。この試験で一番活躍したのはリンだ――その、今回はリンの大手柄だったけど、常日頃から手柄を立てられるわけないってのも分かってる」


「とかく一番言いたかったのは、気を使ってくれて助かったこと、それから、肩身が狭いとか思わず、自分の存在に自信を持ってほしいってことだ」


 コウさんは私の目をまっすぐ見て、そう続けます。

 エクソアに身体を奪われていなければ、私はまた、立っていられずに泣いていたに違いありません。


 "私はずっと、今日コウさんやみんなが死んでしまう一日を見てきたのです。時間を超えて、過去に戻って、何度も。けれどもそれは、私だけの手柄じゃないんだと、みんながコウさんを救ってくれたのだと、伝えてください……"


 私は、エクソアにお願いをしました。

 エクソアは私の言葉に少し遅れて、考えるような素振りでコウさんから視線を外します。そして再びコウさんに視線を向けて、口を開きます。


「あのとき私は単に、どことなく妙な胸騒ぎを覚えて言った、それだけのことなのです。コウさんが無事に試験を終えられて、安心しました」


「……それに、私のことも気を使ってくれて、ありがとうございます」


 少しのあいだ、私とコウさんは黙って互いに見つめ合ったまま、静かな時間が過ぎていきます。

 少し離れたところで盛り上がるギルドの方々の賑やかな声が、次第によく聞こえてきます。

 コウさんは、ふと思い出したように懐中時計を取り出して、盤面を眺めて、それから申し訳なさそうに言います。


「すまん。たぶんもう五分どころじゃねぇな……だが、こういうことはあっちより、落ち着いた場所でちゃんと話したかった」


 忘れないうちに。食ったものの感想を語るなら、食った直後が一番いい。

 恥ずかしげに、少し早口で言います。言い切ってから、ふいと、ちょっぴり気まずそうに会場の賑わいを眺める彼。


 コウさんが人だかりに何を見たのかは分かりません。エクソアはずっと、彼の横顔を眺めていました。しばしの間があって、彼は私に顔を戻すと、肩の力が抜けたように首を傾げます。


「戻るかー……オッサン五百人に食い尽くされるぜ」


 白身魚は皿になかったけどな。

 そう言ってコウさんは、会場の集団を親指で指して、うすら笑いを浮かべました。

 そのまま、私を誘うように先に歩き始めた彼。エクソアが彼に続きます。


 結局、エクソアの中の私、時間を渡り歩いた私の存在は、伝えられませんでした。エクソアに塞がれてしまいました。


 「単に、どことなく妙な胸騒ぎを覚えて言った、それだけのことなのです」

 私の存在を隠すような言葉選び。誤解や説明の不足として片付けるには、エクソアの言葉はあまりにもいびつでした。

 私が伝えたい言葉を、思いを――私が幾多の時間軸で見てき真実を語ることを、エクソアは許さなかったのです。


 けれど、それならば――私がこれまでしてきたことは、許されるのでしょうか。

 私がこれまでしてきた行為は、世界への干渉にほかなりません。


 エクソアは、私と一緒にコウさんを助けることを拒んだり、逆らったりなんかしませんでした。


 水切り石事故を調べるために協力してくれたエクソア。

 水中に沈んだコックピットに飛び込んだエクソア。

 惨事のあと、私が立ち上がるまで、ずっと、静かに待っていてくれたエクソア。

 そして、この時間軸で、コウさんへ私の警告を伝えてくれたエクソア――


 勝手なことはするけれど、エクソアは決して私を痛めつけるような存在ではありませんでした。冷酷な処刑装置なんかではありませんでした。

 でなければ。まるで私の気持ちを汲み取るかのように――


 コウさんの背中を追って歩くエクソアが、静かに一筋の涙を流すことなんて、あり得ないでしょう。






 ――もしかしたら、そういうことだったのかもしれません。

 エクソアは、私の言うことを聞かなかったのではなく、聞けなかったのでしょう。


 弾劾裁判で見た、黒い幾何模様の不気味な姿のエクソア。

 初めて見たその振る舞いは、神使ラーシャ様のおぞましい処刑装置のようでした。

 私がエクソアの檻に閉じ込められる前、神使様は確かに、この世界への干渉を禁じました。きっとエクソアは、あのときの神使様の言葉にしたがって、真実を封じたのでしょう。


 それでも、まだ分からないことがあります。

 私がいなくても、エクソアだけでも彼を救うことは、きっとできたはずです。

 どうして、神使様はエクソアにすべてを委ねなかったのでしょう。

 どうして、私を残そうとお考えになったのでしょう。

 どうして、私にコウさんが死ぬ未来を見せ続けることを罰としてお選びになったのでしょう。



 ――我々は無意味な行動を起こすことはありません。



 神使様のお言葉を思い出します。

 あのとき神使様は、コウさんが世界にとって、いかに重要で貴重な存在なのかをお話しになりました。

 私はそのすべてを、思し召しを未だ理解できずにいます。


 けれども、もし、もしそのすべてに意味があるとするならば。

 神使様は、死んだ私の身体から、私の意識を遺したことにも、意味があるのだと。

 エクソアの中で、私という意識が存在することに理由があるのだと、意味があるのだとするならば。

 神使様は、暗にそう仰せになられたのではないか、と。

 あの弾劾裁判の冷たい言葉の裏に……私への慈悲と、救いを、静かに用意してくださったのではないかと――私の、思い上がりでしょうか。


 ……こんな私でよければ。

 意志薄弱ですぐ折れてしまうような私でも、よければ。

 エクソアの牢獄から喜んで、神使ラーシャ様にお仕えいたします。



 ここで、代理救済プロトコル編はおしまいです。

 みなさん、大変でしたね。読んでくれてありがとうございます。


 コウはリンが自分を救うために、長い、長い時間遡行の旅をしていたことを知りません。

 自分の知らないところで、誰かが黙って支えてくれていたこと。

 誰かの献身を知らないままでいること、あとになって知ることなんて、物語の中だけの話じゃない、ありふれた話だったりしますよね。


 成功させようと努力して、失敗を突きつけられることも、よくある話です。

 けれど、自分でダメだと判断して引き返しす判断が、一番難しいと思います。

 自分から失敗を選ぶ心理的な抵抗感はスゴいし、大抵「やれたかもしれないのに、なんで途中でやめたんだ」って言われるし。

 まあその判断ができないと、チャレンジャー号みたいな事故が起こったりするんですが。現実は非情。

 強行したら強行したで、なんで強行したんだと言われるし。

 最大の戦犯は十中八九、余裕のなさ。



 さて。次からは、!GRAVITONに戻ります。コウが主人公です。

 真面目なお話を書いたので、ちょっと笑えるお話を書いていこうと思います。原点回帰。


 彼の独特なトークがまた聞けるよ。やったね!

 ネタ帳も溜まってきたし、後続のストーリーがずっと待ってるん。


 というわけで、現代知識チートで離水試験は余裕の一発成功かと思ったら、そんなことはなく、判断ひとつで普通に事故って死人が出るお話でした。


 リンネと、科学と安全工学に敬意を添えて。



P.S.

あ、そうそう。できれば、3秒だけ時間をください。

星評価してもらえると、電式さん、とっても報われるんですよ。

3秒の価値も感じないなら、無理にする必要はないですけど。

暫定であとで変える、みたいなのでも全然いいです。


入れてくれた方、ありがとうございます!

私じゃなくても、他の方の作品でも、積極的に星評価とか反応を入れてやってください。

読む側の3秒で救われる作者さんが、かなり多いんです。


ではでは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
コウくんの言葉響きました 当事者じゃない疎外感は僕もよく感じるので次感じた時意識してみようと思いました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ