異世界帰りの俺が魔王軍を殲滅するまで

「お前が私と戦う理由はなんだ」

「俺が勇者だから」

「そうか…お前は…寂しいやつなんだな」

瘴気がうずまき混沌と化した戦場。もはやその場で生命を維持できているのは勇者と魔王のみ。お互いの攻撃が激しくぶつかり合い、世界の命運をかけたこの戦いはまもなく終わりを迎えようとしていた。

「くっ…ぐぁ」

そしてついに、魔王の心臓を勇者の剣が貫いたのだった。

「くふっ…ふふ、ああ、まさか負けるとは思っていなかった…この私が…」

「そうか」

「………は？ゆう、しゃ？貴様…なに、して…」

(ああ、これで俺はやっと…)

7年前に異世界へ召喚され『勇者』としての使命を果たした男、八嶋 透(やじま とおる)。彼は魔王との戦いでその命を終えた。が、死んだはずの透の目には懐かしい日本の景色が。

「ここは…日本？」

透が居ない間、この世界では様々な出来事が起こっていた。1番大きな変化は地球に『魔素』が発生したこと。その影響により異能を使える人が現れた。そしてそれだけではなく、異能を使う人の中に凶暴化…魔人化する人が続出したのだ。事態を重く受け止めた各国は『魔殺協会』なるものを設立し、魔人狩りを開始した。魔人狩りをするその者たちを、人々はハンターと呼ぶ。

地球に帰った透がハンターになるお話です。勇者としての善性、相対する本心。彼の選択する道は。