↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの俺が魔王軍を殲滅するまで  作者: 霞犬
第1章 ハンター試験
17/21

16,逃亡




「!?」



日坂さんに取り押さえられた相手が驚きの声を上げる。


彼が戦っていたであろう場所には緑髪の女性が倒れており、その手には割れたビンの上部が握られていた。



「魔道具は破壊しました。…少なくとも1つは」



ーーー早い。


戦闘が始まってからまだ3~4分ほどしか経っていないはず。その僅かな間に相手を戦闘不能に追い込み魔道具を破壊した。彼も私が思っていた以上に…



(強い…!)



日坂さんは取り押さえた相手に向けて拳を構えると、容赦なく腹に叩き込む。



「かはっ………ちっ!」


「日坂さん、気を付けて!」



だが相手もタダではやられず、拡散する黒い煙のようなものを放ちその場から脱出した。



「おわっ!」



攻撃ではないためダメージはない。


先程の矢の魔法攻撃、それに今の目眩しも…彼は恐らく『闇属性魔法』の使い手なのだろう。




ーーー魔法。


異能における魔法はいわば紙と鉛筆のようなもので、決められた技というものが存在しない。イメージに基づいて鉛筆を自由に走らせるように、魔法も使用者のイメージで様々な形に変化し、具現化する。


そのため魔法を使う際に口にする技名は本人が名付けたものであり、正式なものではないのだ。しかしそれは格好良く装うためではない。自分の魔法に名前を付けることでそのイメージを固められ、成功率を上げられるという理由がある。


その必要は特にないが、イメージが固まりやすいという理由で魔法名を声に出す人がほとんどだ。


ちなみに『付与』などの汎用性の高い魔法はある種のテンプレのようになっていて、皆同じ名付けをしている。イメージが固定化されていることもあり、使用者がとても多い。



(…前衛は日坂さんに任せるのが適切ね)



相手の1人を倒せたこともあり、わざわざ2人で接近戦をする必要がなくなった。そもそも接近戦をしていたのは相手側の魔道具について知る・使わせるためであった。それらが達成された今なら…



(私は後衛へ…!)



「日坂さん、そのまま前衛をお願いします!」


「わかりました!」



そう言うと私は即座に後ろへ移動し、雪から魔道具…大きな杖のようなものを受け取った。


日坂さんと赤髪の彼は再び拳を交える。今度は不意打ちなどない真剣勝負。お互いの身体能力はほぼ互角か。



呼吸を整える。




私の最も得意とする分野は…





(魔法攻撃…!)



「『水龍』」



直後、私の背後に巨大な龍が出現した。その全長は10m程もあり、体は水でできている。


水龍はその口を大きく開けると、口内に圧縮された水の球を生成した。圧縮されて尚大きな塊となったそれの表面が波打つように揺れ始める。



そして…一切の躊躇なく前方へ放った。



「なっ!」



声を出したのは相手。それもそのはず。なぜならこの攻撃は日坂さんにも被弾するから。


でも問題ない。



バッシャアアァアアアァア!!!



…とてつもない威力。地面はその威力に耐えられず割れてしまい、辺り一帯の草花たちも弾け飛んだ。赤髪の彼はと言うと、瞬間的に体に闇をまとわりつかせて防御をしたらしい。しかしあまりの強さで防ぎ切れなかったのだろう。ジャージはボロボロ、皮膚も切れ、至る所から血を流している。


と、そこで彼の腹に放たれたトドメの一撃。



「なんで…お前…っ」



バタンと音を立てて倒れる。



「いや〜、やっぱり神崎さんの魔法はすごいなあ…」



私の攻撃を食らわずに立っているのは…日坂誠、彼であった。



これが私たちに配られた魔道具の効果。


杖を持った人の使用した魔法攻撃は、指定した人物に対してのみ無効になるというものだ。これのおかげで私たちは前衛を気にせず大規模な魔法を放つことができる。


相手もまさかこのタイミングで打ってくるとは思わないだろう。これには絶対反応できない。



「想像よりも接近戦に秀でている相手だったわ。少し見くびっていたわね…。日坂さんがいてくれて助かった、ありがとう。」


「いえいえ!神崎さんの攻撃がなきゃ決定打に欠けていたので!」


「それは気遣いありがとう。でも前衛をやると言った手前、こういった結果になってしまって申し訳ないわ」


「元々神崎さんは前衛が得意じゃないって言ってましたし、それを了承したのは僕たちですからいいんですよ!」


「…ありがとう」


「あのー、私はー?」


「雪もありがとう。おかげで魔道具を使わせることができたわ」


「ふっふーん、どいたまして〜」



(あとは彼の魔道具も壊して…)



…?



フタが開いている…?




彼が、笑って…





「…っ、皆!」



瞬間、私たち3人を巻き込むように吹き荒れる暴風が現れた。不意の攻撃で対処できず、為す術なく空中へと放り出される。



「うわ、これって私の!?」



恐らくこれは雪の風魔法…彼に吸収されていたものだ。雪は私と同じく魔法主体の戦い方をするため、したがって魔法の技術に優れている。今回はそれが仇となってしまったようだ。



「いつ魔法が消えるか分からないわ!皆着地の時は気を付けて!」


「「了解!(おけ!)」」



風魔法の中でも暴風を起こすものは他の魔法で相殺するのが難しい。炎を与えたりでもすれば、それをまとった更に厄介な攻撃となってしまうからだ。


今は耐えるしかない。



数分…いや、実際には1分ほどだったかもしれない。風が止み、私たちが無事に着地した時には彼らの姿は消えていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。