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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

十彩獣団

選ばれなかった刃――雨中の母校決戦

作者:孔雀丸
最新エピソード掲載日:2026/07/30
福江市に降り続く梅雨の雨。北潟慎悟と坪江南海が交わした口づけを、遠くから見つめる少年がいた。轟木栄一――かつて南海に想いを寄せながら、一度も踏み出せなかった男。慎悟が南海を「奪った」という歪んだ確信だけを胸に、栄一は鬼・悪路漢となり、日本刀「松影」を抜く。

同じ夜、警察官と市民三人が殺害される事件が発生。脇出美奈子は覚醒したばかりの霊護獣・銀玲を通じ、事件の残響――恐怖と憎悪の記憶――を受け取ってしまう。「北潟」という名。血に濡れた刃。三人の死。それは偶然ではなく、十彩獣団への宣戦布告だった。

翌日、悪路漢と元同級生四人は、かつて自分たちのリンチ計画を通報した後輩・清滝聖矢を狙い、恨卑と疾牙の群れを母校・福江東中学校へ放つ。校舎に取り残された生徒と教師、そして聖矢と牛山智徳。慎悟たちはためらいなく母校へ駆けつける。

校庭を舞台にした総力戦が始まる。十彩獣団は各々の役割で敵を打ち破っていくが、絶望の淵で智徳と聖矢が新たな霊護獣・土角と聖翔に選ばれ、覚醒する。恐怖を認めながらも立ち上がる二人の姿に、慎悟たちは希望を見出す。

しかし勝機は罠だった。悪路漢は聖矢を囮に使い、庇おうとした慎悟の脇腹を松影で深く斬り裂く。「やっと選ばれなかったな、北潟」――満たされた笑みを浮かべる悪路漢へ、友紀、南海、智徳、聖矢の怒りが爆発し、これを撃破する。

だがそこへ、覇竜十傑の一人・咬覇が出現。悪路漢を「五天王を束ねる旗」として回収し、戦場を去っていく。咬覇の正体に健太だけが気づく――かつての知人、前谷ではないかと。「次は任務抜きだ」という言葉を残し、二人の因縁は次章へと持ち越される。

深手を負った慎悟は美奈子と歩美の治療で一命をとりとめるが、単独行動が仲間全体を危険にさらしたことを、友紀と南海に厳しく指摘される。仲間を守ることと、仲間を信じないことは同じではない――慎悟は敗北を通じて、初めて自らのリーダーシップを問い直す。

三日後に退院した慎悟のもとへ、悪路漢は金津美里のもとへ運ばれ、新たな四人の鬼――邪顎、冥顎、鱗華、麗刃と共に「五天王」として集結させられていたことが明かされる。自分は救われたのか、利用されただけなのか。答えの出ないまま、悪路漢は松影の柄を握りしめる。

梅雨は終わりへ向かうが、福江市には今、雨よりも重い五つの憎悪が集まりつつあった。
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