守る人を間違えた
最終エピソード掲載日:2026/06/12
毎晩、誰にも気づかれない仕事がある。
公爵領を包む結界を、たった一人で灯し続ける仕事。
リーゼロッテはそれを十年間、黙ってこなしてきた。
婚約者はその仕事を、立ってるだけだと笑う。
母の形見の石を、たかが石だと言い捨てる。
眠れない夜も、魔力で軋むこめかみも、知ろうとすらしない。
ある夜会で、婚約者は彼女を置物と呼んだ。
愛人に結界を任せると、全貴族の前で宣言した。
その愛人に結界の才能がないことを、彼女だけが知っていた。
百二十六頁の引継ぎ文書を残し、彼女は公爵領を去る。
持ち出したのは、母の石と、乳母と、鞄一つだけ。
恨み言は、一つも残さなかった。
王都で、彼女の結界を見ていた人に出会う。
三年前の視察で光の精緻さに気づき、報告書に赤線を引いた人。
立ってるだけと笑われた仕事を、国の盾と呼んだ人。
結界が消えた夜、公爵領の空から光が消える。
守られていたことに気づくのは、いつも失ってからだ。
光を手放した者の空に、もう一度あの光は届くのか。
公爵領を包む結界を、たった一人で灯し続ける仕事。
リーゼロッテはそれを十年間、黙ってこなしてきた。
婚約者はその仕事を、立ってるだけだと笑う。
母の形見の石を、たかが石だと言い捨てる。
眠れない夜も、魔力で軋むこめかみも、知ろうとすらしない。
ある夜会で、婚約者は彼女を置物と呼んだ。
愛人に結界を任せると、全貴族の前で宣言した。
その愛人に結界の才能がないことを、彼女だけが知っていた。
百二十六頁の引継ぎ文書を残し、彼女は公爵領を去る。
持ち出したのは、母の石と、乳母と、鞄一つだけ。
恨み言は、一つも残さなかった。
王都で、彼女の結界を見ていた人に出会う。
三年前の視察で光の精緻さに気づき、報告書に赤線を引いた人。
立ってるだけと笑われた仕事を、国の盾と呼んだ人。
結界が消えた夜、公爵領の空から光が消える。
守られていたことに気づくのは、いつも失ってからだ。
光を手放した者の空に、もう一度あの光は届くのか。
第1話「置物の婚約者」
2026/06/12 20:52
第2話「私にもできます」
2026/06/12 20:53
第3話「夜会の置物」
2026/06/12 20:53
第4話「最後の引継ぎ」
2026/06/12 20:53
第5話「この結界を張ったのは」
2026/06/12 20:53
第6話「まだ困っていない」
2026/06/12 20:53
第7話「三日目の朝」
2026/06/12 20:53
第8話「あなたの結界の下で」
2026/06/12 20:53
第9話「壁が消えた夜に」
2026/06/12 20:53
(改)
第10話「記録は嘘をつかない」
2026/06/12 20:53
第11話「立っていただけなのに」
2026/06/12 20:53
第12話「光のある場所へ」
2026/06/12 20:53