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『君を愛することはない、と言われても私はあなたを愛します』 〜わたしのざまぁは、あなたに幸せを感じる心を育てること〜

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/05/17
君は言った。
「愛することはない」と。

その声は冬だった。
凍てついた湖のように、
誰も寄せつけぬ孤独の色をしていた。

けれど私は知っていたのです。
本当に冷たい人は、
そんな苦しそうな目をしないことを。

だから私は、
あなたを愛しました。

捨てられた野菜を煮込み、
割れた器にスープを注ぎ、
誰にも見つからぬよう、
小さな灯りを守るように。

あなたはそれを拒みました。
床に散った温かな雫は、
まるで私の心みたいで。

それでも――
悲しくはありませんでした。

だって私は願っていたのです。

いつかあなたが、
「美味しい」と笑える日を。

誰かと食卓を囲む幸せを。

春の匂いを。

焼きたてのパンの温もりを。

誰かを愛して、
愛される喜びを。

あなたに知ってほしかった。

だから私の“ざまぁ”は、
傷つけることではありません。

奪うことでも、
泣かせることでもない。

幸せを知らなかったあなたが、
ようやく幸福を見つけたその瞬間――

どれほど自分が愚かだったのか、
涙を流してしまうこと。

それが、
私の望んだ“ざまぁ”。

そして今日もあなたは、
湯気の向こうで微笑むのです。

「美味しい」

たったその一言が、
この世界のどんな宝石より、
私を幸せにするのです。

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