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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

操り人形の宇宙ーにんぎょうつかいのそらー

作者:日塚 真矢
最新エピソード掲載日:2026/08/21
私は、戦いが嫌いだ。

もし、こんな私でも生まれ変わることが許されたのなら。
次こそは、平穏な生活を送りたかった。

誰も傷つかない。
誰も死なない。
みんなが、ちゃんと生きていられる。

そんな世界で。

「操り人形の宇宙―にんぎょうつかいのそら―」

ローレッタ=プラットは、テルース王国の古参貴族、プラット男爵家の三女として生まれた。

古参貴族と言えば聞こえはいい。
けれど、プラット家は万年男爵家。
王国最下級の星系貴族だった。

領地であるプラット星系は、広大な星間宙域を治めるテルース王国の中でも、辺境の中の辺境。
そのまた辺境にある、忘れられたような星系である。

あるのは、ちっぽけな主領星。
人が住めるとも思えないくず惑星がいくつか。
あとは、小惑星ばかり。

当然、資源もない。
産業もない。
交易路からも外れている。

つまり、金がない。
とにかく、とにかく金がなかった。

そんな家に生まれた三番目の娘、ローレッタに与えられるものなど何もなかった。

家を継ぐ権利もない。
分け与えられる財産もない。
両親からの期待もない。

ただし、役割だけはあった。

ローレッタは、姉たちのための予備だった。

姉たちに何かあった時、必要なものを差し出すための身体。
それが、プラット男爵家におけるローレッタの価値だった。

白い髪を茶色に染め、古い屋敷の隅で、できるだけ目立たずに。
ローレッタは、自分の価値を「役に立つこと」だと思い込んで育っていく。

けれど、十四歳のある日。

屋敷の古い階段から落ち、大怪我を負ったローレッタは、そこで自分の前世を思い出す。

最強の人形使い。
王国軍を恐怖の底に叩き落とした白い死神。

撃墜女王。
マーリン=ロイス。

ローレッタ=プラットは、その生まれ変わりだった。
彼女の中には、かつて戦場を支配した撃墜女王が眠っている。

戦いを嫌い、平穏を望みながらも、
誰かが死ぬことだけはどうしても見過ごせない少女。

これは、撃墜女王マーリン=ロイスの生まれ変わり。
ローレッタ=プラットの物語である。

更新日:毎週火曜日、金曜日 20時掲載です。
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