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信用という名の財産

最終エピソード掲載日:2026/09/12
伯爵令嬢セシリアには、幼い頃から婚約している侯爵令息アルフレッドがいた。

だがアルフレッドは、乳母の娘である幼馴染リディアを「妹のようなものだから」と何かにつけて優先する。

セシリアの誕生日には夜会のエスコートをすっぽかし、伯爵家が用意した劇場の特別席や高級レストランの予約まで、当然のようにリディアとの外出に使ってしまう。

セシリアはそこで気づく。

問題なのは、自分より他の女性を優先されたことではない。

伯爵家の名義、資産、信用を、侯爵家が許可なく使っていることだった。

過去三年間を調べ直せば、次々と明らかになる婚約契約違反。

「これは恋愛の問題ではありません。二つの貴族家が結んだ契約の問題です」

伯爵家は婚約を解除し、契約通りに違約金と慰謝料を請求する。

一方、家のことを妻へ任せきっていた侯爵は、そこで初めて自らの家で何が行われていたのかを知る。

夫人の離縁。嫡男の廃嫡。

しかし、それで失われた信用が戻るわけではなかった。

前金を求める商人。条件を厳しくする銀行。距離を置く貴族たち。

金で支払える違約金よりはるかに重い、「信用を失う」という代償。

これは、婚約を破棄した伯爵令嬢と、崩れかけた侯爵家を一から建て直そうとする当主の、契約と信用をめぐる物語。
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