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通訳の令嬢が消えた朝、国境交渉は白紙に戻った

最終エピソード掲載日:2026/07/05
「愛想はいいが、政治向きではない」——婚約者オズワルドは、伯爵令嬢セシリアをそう評して交渉の場から遠ざけ続けた。しかし彼が自らの手柄として発表してきた条約文書は、すべて彼女が夜を徹して書き上げたものだった。

ある日、決定的な侮辱を受けたセシリアは、隣国の外交官リアム・ダーシャからの正式な招聘に応じ、荷物ひとつで国境を越える。

残された辺境伯家では、彼女にしか書けなかった交渉文書が誰にも起草できず、隣国との関税折衝は瞬く間に停滞する。気づいたときには、セシリアはすでに隣国で、自分の名前を持つ交渉人として迎えられていた。

誰かの手柄として消費され続けてきた言葉が、初めて自分自身のものになる——静かな決別と、尊厳を取り戻す恋の物語。
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