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女子大小路 怪異IT相談所

作者:堀吉 蔵人
最新エピソード掲載日:2026/06/06
女子大小路には、女子大がない。

元SEの瀬戸口連平は、家賃の安さに負けて、栄四丁目の古い雑居ビル三階にIT便利屋を開いた。

スマホ設定、Wi-Fi調整、パソコン初期化。
地味で安全な仕事をするはずだった。

だが、入居初日からおかしい。

三階の廊下は、外から見た建物より明らかに長い。
事務所の看板には、勝手に「怪異IT相談所」と書かれている。
そして閉店したスナックの予約フォームには、毎晩「旧女子大 学生課」から予約が入る。

存在しない部屋番号。
本人確認に失敗する鬼。
池田公園に重なる、もうない学生寮。
削除できない名前。
閉じたはずなのに閉じきれない店。

連平は怪異を祓わない。
ログを見る。
原因を切り分ける。
再現条件を取る。
そして、消えたものたちが今の街を壊さないよう、どうにか暫定対応していく。

名古屋とは本文中では呼ばれない街。
女子大小路、広小路、白壁、覚王山、熱田、堀川。
具体的な地名だけが積み上がり、名前だけ残ったものたちが、少しずつ夜に戻ってくる。

偏屈な元SEと、妙に詳しい妖怪たちと、広小路のホテルに勤める高嶺の花っぽい変人・白河玲子。

これは、都市の隙間に残ったログを読む、怪異IT相談所の記録である。
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