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『決断の時/The Hour of Decision』➖ 遣唐使 阿倍仲麻呂 十九歳 、叡智への航海

作者:東曌
最終エピソード掲載日:2026/10/26
『阿倍仲麻呂、叡智への航海』

日本の本を読み尽くした青年がいた。

阿倍仲麻呂、十九歳。

 彼の胸を満たしていたのは、名誉でも出世でもない。まだ知らないことを知りたい。
 
 見たことのない世界を見たい。

 そして、そこにある本を読みたい
ただ、それだけだった。

時は奈良時代。

仲麻呂は、遣唐使の一員として、海の向こうに広がる大唐帝国へ旅立つことになる。

父に「必ず、帰ってきます」と約束した青年は、まだ知らない。どれほど広大な世界が待っているのか。

そして、その海が、どれほど遠い帰り道になるのかを。

唐の都・長安。

世界中から人々が集まり、学問も詩も政治も、途方もない熱気の中で動いていた時代。

仲麻呂はそこで何を学び、誰と出会い、何を成し遂げるのか。

やがて彼は、異国の官僚として唐の歴史のただ中を生きる。

栄華を誇る帝国が揺らぎ、戦乱が時代を変えていく中で、彼自身の人生もまた、大きく翻弄されていく。

そして、いつか日本へ帰ろうとしたとき――。

これは、最初から悲劇の主人公だった男の物語ではない。

知りたい。

読みたい。

自分の目で確かめたい。

そんな好奇心いっぱいの青年が、世界を舞台に駆け抜けた一生の物語である。

『海の向こうには、まだ読んだことのない本がある。』

その一心で旅立った青年は、いったい何を手に入れ、何を故郷に残していったのだろうか。
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