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永久保存性理論

作者:平木明日香
最新エピソード掲載日:2026/06/20

人を含むあらゆる生命や物質は、どこまで「存在したもの」として残り続けることができるのか。

生命には死があり、物質には崩壊や変質がある。人の身体はやがて形を失い、その記憶や人格も、時間の中で読み取れないものになっていく。しかし、それをもって存在は完全に消滅し、永遠の無へ到達したと言えるのだろうか。そもそも、何も存在しない「無」とはどのような状態であり、それを存在の外側にあるものとして定義することは可能なのか。

一方で、何かが永遠に存在し続ける状態も、変化や差異や観測可能性を一切持たないならば、永遠の無と区別できないかもしれない。存在と無の境界は、単に物があるかないかではなく、その存在によって生じた差異が、現在から未来へどのように保存されるかという問題の中にある。

『永久保存性理論』は、数学・物理学・存在論の視点から、保存とは何かを根本から問い直す研究論文である。本論が扱う永久保存とは、生命や物質が同じ姿のまま永遠に残ることではない。位置、運動、情報、因果関係、そして存在したことによって世界に生じた差異が、変化や分解を経た後にも、完全なゼロへ移行せず保存されうるかを問うものである。

存在したものは、本当に「存在しなかった状態」へ戻ることができるのか。本書は、死と消滅、永遠の有と永遠の無、そのあいだに残される最小の存在差から、完全消去することのできない実在の可能性を考察する。
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