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『無能と呼ばれた私、1,000円の精霊魔法で東京を氷華に変える』 〜森林環境税は“選ばれた者”のためにある〜

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/05/20
灼ける東京、
融ける硝子、
空は熱を逃がさず、
人は風を忘れた。

誰もが言った。

森は無力だと。
木陰は古いと。
苔は汚いと。

たった千円。
されど千円。

それは税ではなく、
自然へ差し出された、
最後の祈りだった。

アスファルトの裂け目に、
一輪の花が咲く。

誰にも愛されなかった少女は、
街路樹の囁きを聞く。

「あなたは、まだ
 土の匂いを嫌っていない」

冷たい風が流れた。

ビルの谷間を、
疲れ切った人々の頬を、
熱に焼かれた東京を、
静かに撫でていく。

豪奢なドームは蒸気に沈み、
誇り高き塔は熱を孕み、
最後に都市を救ったのは、

名もなき草と、
地下を流れる水と、
木漏れ日だった。

「お願い、払うから!」

泣き叫ぶ声を、
森はただ見つめていた。

金額ではない。
契約とは、
敬意だから。

硝子の靴で、
花咲く銀座を歩く少女。

彼女の足跡には、
雪解けの雫が残る。

東京は初めて、
呼吸を思い出す。

風が生まれる。
緑が笑う。
精霊が歌う。

そして世界は知る。

文明を冷やすのは、
機械ではない。

誰かが守り続けた、
一本の森なのだと。
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