セ・ラヴィ ～C'est la vie～

　〝その男、善か悪か？ 害か利か？〟

普通の高校生を装って生き続けてきた少年、石杖黒斗（いしづえ くろと）。
成績も普通。性格も普通。人当たりも普通。
誰の目に留まっても、大差のつかない彼には、実は裏の顔が存在した。

世に蔓延る理不尽。裁けない悪。
彼はそれを駆逐する者として、表では高校生、裏では犯罪者という二重生活を行っていた。
しかし、そんな彼の日常は、唐突に終わりを告げてしまう。
あるときから聞こえるようになった、謎の声。
導かれるようにして辿り着いたのは、会ったことのない祖父の墓の前だった。
その瞬間、突如湧き出した光に包まれ、石杖黒斗はこの世から消えた。

目覚めた先は、見知らぬ異世界。
そして彼は、自らが召喚された意味を、静かに告げられるのであった――

「あなたは、勇者に選ばれたのです」