表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「役立たずの聖女」と婚約破棄された私、辺境では一日で五百人を救ってしまいました

作者:カルラ
最終エピソード掲載日:2026/05/17
卒業式典の壇上で、婚約者である王太子アルノルトが高らかに宣言した。
「エレノア! お前との婚約を破棄する! 次代の聖女はリリアだ!」
割れんばかりの拍手の中、派手な光魔法を披露するリリアを見つめながら、侯爵令嬢エレノア・セレスティアはただ静かに立っていた。
怒りも、涙も、出なかった。
ただ少し——疲れた気持ちになっただけだ。
翌日、王家からの通達が届く。
辺境修道院への赴任命令。
要するに、厄介払いだった。
しかし辺境で待っていたのは、ボロボロの修道院と、病に倒れる孤児たち、汚染された井戸、枯れ果てた畑だった。
エレノアは派手な奇跡を使わない。
光の柱も、黄金の演出も、何もない。
ただ黙って、水を浄化し、土を癒し、傷を治し、パンを焼く。
「これくらい、普通のことです」
本人はそう思っている。
でも——数日で井戸が澄み、枯れた畑に芽が出て、病の子供たちが笑顔で走り回り始めた。
噂はたちまち広がった。
〝奇跡の修道女様〟が辺境にいる、と。
やがてエレノアのもとには、遠くの村からも病人が押し寄せ、戦争帰りで聖女を信じない辺境伯カイルでさえ、その目で見た現実に言葉を失う。
一方、王都では事態が悪化していた。
リリアが何度浄化しても、川の汚染が数日で戻る。
疫病が広がり、民が倒れていく。
そしてついに、アルノルトが辺境まで頭を下げに来る。
「戻ってきてくれ……!」
だがその時エレノアの周りには、元気に走り回る孤児たちがいた。
彼女を慕う民がいた。
そして静かに前へ出る、一人の辺境伯がいた。
地味で、光も出ない、役立たずと呼ばれた聖女の——本当の奇跡が、今始まる。

ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ